これがハッピーエンドなのかは自分でもよく分かりません。ヒロインは男の“体”にナイフを突き立てただけなので運良く男は生きていましたが、このまま治療もせずに実験室にこもっていればいずれ死にます。そうすれば他のスタッフが異変に気付き、実験室で３人の死体と実験中のヒロインの姿を見つけるでしょう。きっとそこでヒロインの実験は終わります。同時に人生もです。
作中で述べたように、私は人の性格はそう簡単に変わらないと思います。思春期ならまだ分かりませんが、ヒロインのように成熟した大人は成長こそあるものの、変化というのは中々無いでしょう。その代わり、周りの環境から与えられる影響というのは凄まじく大きいと思います。あの人は良くてあの人は駄目なんていう理不尽、あの人だから良い悪いなんていう不条理、世の中は理屈では語れない事で溢れかえっています。何かのトラウマを持った人間がそれを克服するのは極めて困難なのと一緒で、ヒロインには圧倒的に素直さが欠けています。彼女はそれを最後まで治せませんでした。本当は誰が読んでも爽快感が溢れるラストにしようかなとも思いましたが、彼女の性格上それは不可能でした。ですが、それでいいんじゃないかなと思います。
このお話は、今までで１番突発的に案が浮かんだ割に、１番行き詰まる事が多いお話でした。矛盾点が無いように気を付けて書いていたのもありますが、なんか、書けませんでした。沢山お待たせしてすみません。こんなにもこの結末で良かったのかとドキドキしているのは初めてです。きっとどんな結末でも思っていたのでしょうが。
１番書きにくい作品でした。気軽に書けなくて、重くて、でも終わってみると寂しいです。このお話に続編や番外編はありません。ヒロインの未来が続くかが分からないからです。コンビニを出た数時間後には終わっているかもしれません。人生何処が終わりかなど誰にも想像できません。なんて、ここでそんなリアル感を出してみます(笑)。
素っ頓狂な設定・題材にも関わらず沢山の人からコメントを頂けて本当に嬉しかったです。ここまで着いて来て下さりありがとうございました。また次の新連載も、よろしければお付き合いお願いします。コメントなど下されば飛んで喜びます！
それでは、本当に本当に、ありがとうございました。
南
