答えない知らない解らない

「俺達は、勝つ為に来た!!」



髪型が個性的な青学の人(副部長で部長代理らしい)が、最初に勝利宣言をして来た。真田君と握手をしたまま言えるんだから、中々な度胸を持っているんだろう。

そして、火蓋は切って落とされた。



「…頑張れ」



関東大会決勝が始まった。



***



「気の毒ですが、これが勝負というもの」



応援席にてそう呟いたのは柳生君で、それに真田君や柳君も同意するように頷く。ダブルスの最初の試合を行っている今、青学には悪いが力の差がありすぎるのが私からでもわかった。



「やっぱ俺って天才的ー!」

「「うるせえ凡人が!!」」



丸井君の(自称)妙技が繰り広げられる度に発されるその台詞は、相手からすると腹が立って仕方ないだろう。現に言い返されてる。無理もない、私も初めて聞いた時は若干どうかと思った。



「見るまでも無いッスねー」

「いや、よう見てみんしゃい。向こうもやられっぱなしじゃなか」

「…ん?」



その時、仁王君が隣に腰掛けながら呟いたのだが、私は少しばかり違和感を持った。隣に座っている仁王君と、前に座っている柳生君に顔を近付け、鼻を利かせる。



「あ、入れ替わってるのか」

「ちょ待ちんしゃい、田代俺と柳生の区別匂いでつけとるんか?」

「仁王君は柳生君より柔軟材の匂いが濃い気がする」

「わかるッスー!仁王先輩の柔軟材ちょう良い匂いッスよねー!」

「これはまた斬新な区別の仕方で…」



私が思っていることを口に出せば、柳生君の格好をしている仁王君が困った顔をしながら後ろを振り向いてきて、仁王君の格好をしている柳生君が若干呆れたように息を吐いた。切原君はひたすら先輩の柔軟材教えてほしいッス!、と何やら興奮してる。あ、別に柳生君が臭いとかではないからそこは誤解しないでほしい。

そんな風にくだらない雑談を交わし、しばらく経った後。試合終了の声が審判から鳴り響いた。6−1、D2は勝利に終わった。



「お疲れ様丸井君、桑原君」

「おーサンキュー」

「…これ以上続けてたらわかんなかったな、結果」



2人の元に歩み寄りドリンクとタオルを渡すと、どこか悔しげな言葉が2人から吐き出された。最後の最後でパワーアンクルを外せられたことが悔しかったのだろう。私はふてり顔の丸井君の頭を一度軽く叩き、席に戻った。



「全員パワーアンクルを外せ!」



その時、今の試合を見兼ねてかは知らないが真田君がそう言い放った。皆は素直に従う、が、変装仁王君(つまり柳生君)はそれを軽くいなした。

D1が始まる。
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