一方、男子部屋では。 「なー仁王ー」 「んー?」 彼ら以外の2人は違う部屋に遊びに行っているのか、今この部屋には彼らしかいない。その状況を利用して、丸井は大量に買い込んだお菓子を食べながら仁王に話しかけた。ちなみに2人の場所はそれぞれのベッドの上で、すっかり寛ぎモードに入っている。 「田代ってさー、俺らん事どう思ってんのかなー」 「…は?ま、まままさかブン、田代に恋「してねぇよ」 物事を間違った方向に先読みするなり1人で勝手に焦り出した仁王を、丸井は呆れた様子で止める。早とちりもいいとこだ。 「いっつも俺らになんだかんだ着いてきてくれんじゃん?」 「まぁなー」 「ファンクラブだってあいつの無関心さ感じとってっからあいつには手出してねぇんだぜぃ?それって重症じゃね?」 「どんだけ俺らに興味無いんじゃろな」 そこで2人の間に一度沈黙が降りかかったが、それもすぐに止み。すると2人は今度は急に狼狽えだした。 「きょ、興味無いって事は…!」 「本当は俺らに嫌々付き合っとるって事…!?」 「「やだああぁあぁああ!!」」 最初はそれでも良かった。ただ隣にいて、なんとなーく構ってくれればそれで良かった。しかし人間とは欲張りな生き物であり、いつしかそれだけでは物足りなくなってしまう。この2人が良い例だ。 2人がやだ、やだ!と駄々をこねていると、ふいに2人の携帯が同時に鳴った。それにより一度落ち着きを取り戻し、顔を見合わせてから携帯を手に取る。 「あ、メールじゃ」 「俺も…ん?」 「幸村から一斉送信じゃの」 「おう」 ピ、ピ、とボタンを操作して開いたメールの内容に、2人は口をあんぐりと開けながら硬直した。声にならない声を上げてからジタバタと2人で暴れ、とりあえずベッドの上から降り、お互いの携帯画面を見比べる。 「深夜2時から、ホテル近くの森で肝試し…って、えぇ!?」 「しかも窓から抜け出せって…確かに此処1階じゃけど…!」 「ん?待てよ、スクロールしたらまだなんか文章が…」 カチカチ、とボタンを押し、1番下に向けてスクロールする2人。そうしてやっとし終えたところで、2人は再び絶句した。 「“来なかったらどうなるかわかってるよね(^ω^)?”…俺、お化けより幸村君の方がこえぇ」 「全くの同感じゃ」 晴香の事で若干のブルーに陥り肩を落としていた2人だが、そんな2人を救ったのは求めていた晴香の優しさではなく、幸村の突発的な気まぐれだった。不幸というのは、立て続けに起こるものである。 |