「田代!そっちホルモン!」 「了解。柳生君、そこはタン塩エリアだ」 「わ、わかりました」 勝った後の飯ってなんでこんなに美味いんだろ!そんな事をしみじみと思いながら、田代と一緒にどんどん肉を焼いていく。ちなみに焼き係は主に俺達が担当してて、他の奴らはたまに手伝ったりとかそんな感じだ。こういう食べ放題は、早食い大食いの奴が率先して焼いてかないと時間がもったいねぇからな! 「お、俺もう入んない」 「何を言ってるんだ仁王君、まだまだこれからだぞ」 「田代ヤダー!」 「たっく、仁王は胃袋小せぇんだからよー。だからンなガリなんだっつーの!」 もうギブアップとか言い出した仁王にそう言うと、仁王は何か言いたげな目で俺を睨んで来た。だから目の前にトングで掴んだ大量の肉をちらつかせてやれば、口元を手で抑えて視線を逸らした。はい、俺の勝ち! 「先輩達っ、俺ももっと食いたいっす!」 「良い心意気だ切原君、ほら、食べなさい」 「わーい!」 今んとこ俺達のペースに着いて来れてんのは赤也くらいだ。ヒロシは助手として焼くのに専念させてるし、ジャッカルは皿替えばっかしてるし、柳はあらかじめ取っておいた分で済ませてるし、幸村君ももう飲み物飲んでるだけだし。なんだよ張り合いねえな、とちょっと不満げに口を尖らせていると、俺の視界に見逃してた人物が入った。真田ー!馬鹿食いしてんじゃんー! 「田代!真田が抜け駆けしてるぜぃ!」 「むんっ!?」 「成程、私達に盗られないように1人でコソコソと食べていた訳か。漢の隅にも置けないな真田君」 「なんだと!?望む所だ田代、お前の目の前で全て食い散らしてくれるわ!!」 「絶対負けないもん」 負けないもん、って…ちょっと可愛いな田代オイ。とかいうのは本人に言っても無反応な事間違いなしなので、とりあえず俺もその勝負に参戦する為に、一度皿の中身を空にする。 「晴香先輩ー!協力するっすよー!」 「俺もするぜぃ!」 「やだ私が全部食べる」 「結局1人で食べたいだけなんだね」 が、そこで幸村君の冷静な言葉が耳に入って、田代の思惑を理解する。折角真田に負けないように協力してやろうと思ったのにひでーな!こうなったら俺も食いまくろっと! そう思ったのは赤也も一緒だったのか、奴は半袖のポロシャツを更に捲り上げて気合を見せてきた。良い意気だ赤也! 「赤也!遠慮すんなよ!」 「当たり前っすよ!」 「お、おまんらツユが飛ぶ!」 「仁王君!逃げてないで貴方も焼くのに手伝って下さい!あぁ真田君それまだ生焼けですよ!田代さんもぉおぉ!」 「すんませーん、この皿片して下さいー」 「あ、すみません梅しそ冷麺を1つ」 「良いねー蓮二。じゃあ俺はキムチ冷麺で」 あ、いいな、俺も冷麺食いたい。 「丸井君、切原君、これは私と真田君の勝負だ。君達は大人しく違う物でも食べていたらどうだ」 「やだ!」 「嫌ッス!」 「小癪な!張り倒してくれるわ!」 「すんませーん、ハラミ追加でー」 それから何回もジャッカルが注文を追加したけど、俺達の戦いにケリがつくことは中々無くて、結局幸村君の「見苦しいからやめろよ、お前達」の一言でこの戦いは幕を閉じた。うーん、さすがにちょっと気持ち悪ぃかも…。 「すみません、カクテキとバニラアイス1つ」 「まだ食うのかよぃ!?」 「っつーかどんな組み合わせっすか」 「俺今日でちょっと田代嫌になったぜよ」 教訓、田代と食べ物関係で戦うのはやめておくべし。 |