「えっとーんじゃあカルビ20人前と、メニューこっからここまで10人前!」 「か、かしこまりました」 結局来てしまいました、焼肉120分食べ放題。ちなみに注文は全部丸井君に任せているようだ。彼が1番ペースが早いからな、妥当な所だろう。それにしてもこの人達と来たら元を取れる気しかしないのは、間違いではないはず。 「さぁ田代たくさん食べるんだよ?」 「言われなくても食べる」 「田代!デザートも頼もうな!」 「当たり前だ」 グッ、と手を組む私と丸井君を見て、他の人達は笑ったり苦笑いしたり呆れたり。食べ物に執着して何が悪い。 「田代、お前は一体何キロなんだ?」 「38〜40をうろうろ」 「え、そこ言っちゃうんスか!しかも細っ!」 「遺伝だ」 この言い訳は前も使ったような気がするんだが。まぁいいか。別に体重くらい言ったって減るものじゃないだろう。が、あまりにも淡々と言い放った私に、驚いてるのか感心しているのかよくわからない口調で仁王君が話しかけてきた。 「ブンとそげん身長変わらんのに凄い差じゃのぅ」 「う、うるせぇよ!俺は成長期なの!大体結構変わるだろぃ!」 「ふふ、デブン太」 幸村君の言葉がトドメとなったのか、それを区切りに丸井君が拗ねた。面倒臭い。 「でもちゃんと食ってるもんなー、一見不健康そうなのによ」 「それはよく言われる。が、何も問題は無い」 「だろうな」 田代は頑丈だ、とその白い歯を剥き出しにして笑う桑原君。その癒し成分100%の笑顔に、神経質になっていた心が和らいでいくのを感じる。 とそこで、店員さんが妙に逃げ腰で大量の肉を運んで来た。美味しそう。プルプル震えている店員さんの腕から肉が乗ってる皿を取り、順々に回して行く。あっという間にテーブルが肉で埋まった。むしろ入りきらない。 「弦一郎、行け」 「よし!」 1つの皿に4皿分の肉を乗せたりと色々工夫を凝らし、なんとかテーブルに肉が収まった瞬間、柳君が真田君に何かを促すと彼は急に立ち上がった。早く食べたいんだが。 「今日は立海優勝の祝いだ。特別に田代もいる!」 「それはどーも」 「たくさん食うぞ!常勝!」 『立海ー!!』 それぞれが頼んだソフトドリンクを持ち、グラスをカキーン!、と合わせて、合わせた後はとりあえず一気飲み(負けてたまるか)。 そしていよいよ、焼肉が始まった。 |