「あーもう疲れたぜぃ…」

「それでもまだお昼ッスよ?俺今日死ぬ…」

「まぁ、皆よく頑張ったよ。田代が腐るほどドリンク買ってきたから好きなだけ飲みな」

「…よく運んで来たな。データを遥かに越える腕力だ」

「別に普通だと思うが」



皆の元へ戻ると、そこは屍の山だった。…正しく言えば、折り重なって倒れているのは丸井君、切原君、仁王君の3人のみだが。見ているだけで暑苦しい。



「うむ、さすがだな田代!それでこそ我が立海のサポート役だ!」

「この人天然なのか?」

「うん、厄介でしょ」



それを笑顔で言い放つ幸村君も中々厄介だが、これは心に秘めておこう。



「それより飯食わないか?どっかの海の家にコンロとか一式貸してくれる所あんだろ?昼時は混むだろうし、早く行こうぜ」

「そうですね」



そこで桑原君が尤もな事を言うと、柳生君を筆頭に皆は賛同し、ようやくそこから離れる事になった。



「楽しみッスね!肉ッスよ、肉!」

「あぁ」



肉が食べれるのは確かに楽しみだからそう言葉を返すと、切原君はかなり嬉しそうに騒ぎだした。焼けた砂浜が足に直接当たって熱い。でもまぁ、たまには、本当にたまにはこういうのもいいだろう





***





「あぁあああぁ!?田代っそれ俺のだって知ってただろぃ!?」

「知らない」

「案外子供っぽいんじゃの」



先程の2人組──忍足ペア──が働いてる海の家とはまた違う場所で、彼らは焼肉を行っている。さすが育ち盛りというべきか、食べるスピードが尋常じゃない。それに着いていっている晴香はツワモノそのものだろう。ちょうど今は丸井が育てていた肉を横取りしたようだ。



「田代さん、女性としてあるまじき行為ですよ!」

「食べ物に女性も男性も無い」

「わー、格言っぽいー」



晴香の言葉にそう無邪気に反応する幸村。注意した張本人である柳生は、何を言っても無駄だということを早急に察し、そのまま静かに佇み始めた。



「本当によく食うのう。しかもカルビばっか」

「カルビに満足したら他の物に手をつける」

「田代、ホルモンはどうだ?」

「食べる」

「手つけてんじゃないッスか」



柳の言葉にあっという間に乗せられ切原から盛大なツッコミをくらった晴香だが、食に夢中な彼女にとってそんなことはどうでもいい様子。なんとも肉食女子である。



「あ、ジャッカルその皿の肉全部焼けよぃ」

「お前なー…」

「丸井、赤也、田代!少しは周りにも気を遣わんか!」

「「「やだ」」」

「ふふ、反抗期だね」



果たしてこの焼肉という名の戦争はいつまで続くのやら。
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