「でー、しかもー!」

「…なぁ」

「あっ、胸はちょっと小さいんスけどね?でもそこもまた良いとこになっちゃうんスよ晴香先輩の場合!」

「だーかーらー!!」



バンッ!、と机に手を当て、不機嫌な表情で立ち上がる丸井。それに対し切原は「へ?」と目を見開かせ、ジャッカルは溜息を吐いた。



「なんでお前がここにいんだよ!?」

「購買行ったらジャッカル先輩に会ったんで、着いてきました!」

「ジャッカル…お前、俺が此処来た時いねぇと思ったらコイツに捕まってたのか」

「まぁな」



3人が居座って昼食をとっている場所はジャッカルのクラスであり、正直1人だけ下級生の切原はかなり浮いている。勿論当の本人はそんなことお構いなしなのだが、3人の中で唯一の常識人であるジャッカルは先程から眉を下げるばかりだ。



「丸井先輩こそなんで自分のクラスにいないんスか?せっかく晴香先輩と同じクラスなのに」

「お前と同じにすーるーな。…俺は、田代と仁王が一緒にいる時のあの雰囲気に入れねぇし。そんな状態で飯食ってもまずいじゃん」



何をそんなに邪険にしているのか、ただただ不貞腐れながら丸井は話を進める。その様に切原は勿論、流石のジャッカルも首を傾げるばかりだ。



「俺はその田代?って奴と関わったことねぇから、なんも言えねぇ」

「晴香先輩最高なのにー。確かにちょびっと無愛想ッスけど」

「ちょびっとどころじゃねぇだろぃ」



すると切原は何を思ったか急に丸井の肩を持ち、どこか感慨深げにこう言った。



「大丈夫ッスよ!まぁ先輩にはラーメンの借りがあるし、」

「いやあれ奢ったの最終的に俺だけどな」

「俺が先輩の居場所になってあげるッス!!」

「無視かそうか」



遠い目をして飲み物を飲み始めたジャッカルは置いておいて、丸井も丸井でこれまた感銘を受けたのか真剣な表情で切原に向き合った。



「お前…最初クソ生意気でウザかったけど案外良い奴なんだな…!」

「単純すぎだろ!?」

「よし!今日から俺はお前のこと赤也って呼ぶぜぃ!」

「どんと来いッスー!」

「えええええ」

「あ、ジャッカル先輩も名前で良いッスよー!」



何故お前が上から目線で言う、と内心思いながらも、あまりの急展開にジャッカルは頷くことしか出来なかった。そしてたちまち意気投合し始めた2人に更に頭を抱えたのは、言うまでもない(苦労人ジャッカル、誕生の瞬間)。



「とりあえず丸井先輩には晴香先輩の魅力を知ってもらうとこから始めなきゃッスね!」

「…いや、それはいい」

「えー?」



段々と、着々と彼らに巻き込まれつつある晴香。果たしてこれから彼らとの関係は、どのように変化していくのだろうか?それは、まだ誰も知らないお話。
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