「田代、お前調理係とか言ってなかった?」

「丸井君と仁王君が勝手に衣装を用意したせいで左遷された」

「ふむ、可愛いぞ」

「そうか。2人とも、注文を」

「あ、ねぇねぇ写真撮ろうよ!」

「名案だな」

「私の話を聞いてくれないか」



あらかじめ来るとは言っていたので驚きはしないが、この2人が最初に来たというのは予想外だ。私は目の前にいる幸村君と柳君を見ながらそう思った。そして、話を全く聞かない2人に深い溜息を吐く。



「2人のクラスは何をやっているんた?」

「うちはおにぎり屋だ」

「うちは創作展示だから店番必要ないし、やる事無い。だから田代、暇になったらすぐ俺の所来てね。間違ってもさっきの男の所とか行くなよ」

「わかったわかった」



告白された日もそうだったが、幸村君は何かと土田君に対して怒りを露わにしている。何がそんなに気に食わないのかは私にはわからないからスルーしておくが、つくづく変だなと思う。

それから少しして店は本格的に混み始めて来たので、まだ此処にいろとぐずる2人の注文を無理矢理とり、私はそこから離れた。当たり前のごとく、勝手に写真も撮られた。



「田代ー、俺達あと30分で休憩だってよ!」

「俺達いたら店混むから一緒に入って来てって言われたなり」

「私は関係無いんじゃ無いか?」

「何言ってんだよぃ、このクラスで俺達は3人で1セット!とにかく一緒な!」

「わかった」



実際全然意味はわからないが、休憩に入れるに越した事は無い。だから私は適当な返事を2人にして、残り時間を集中して過ごした。



***



「いらっしゃいま…あぁー!先輩達ー!」

「おまんら頑張っとるのう」



それから休憩に入り、私達3人と幸村君はテニス部の部活展示に足を運びに来た。柳君は店番の時間が来てしまったので今はいない。

此処ではかき氷、アイス屋が出店されている。ちなみにそれらは外で販売されており、部室内は飲食スペースとなっている。切原君は外で一生懸命かき氷を作っていて、氷を削ぐ音が大きい為必然的に切原君の声も大きい。加えて、彼のクラスTシャツの袖はまくられていて、前髪はピンであげられている。まさに祭男といった感じだ。



「先輩達味何にしますかー!?」

「勿論奢りだろぃ?」

「ハハッ、きついっすー」

「じゃあ赤也、俺レモン。シロップ多めでね」

「了解っす!」



幸村君に続き、丸井君はいちご、仁王君はブルーハワイ、私はメロンとそれぞれ注文をする。切原君ともう1人のシロップをかける係の後輩は、注文を終えたと同時にせっせとかき氷を作り始めた。



「赤也ー、練乳は無いのかよぃ」

「わがまま言わないでくださいよー!」

「ていうかどうせならアイスも食べたいよね。赤也作って」

「そうじゃのう、ちゃんとコーン付きのアイスがえぇ」

「どっちかって言うと私はソフトクリームが良い」

「営業妨害っすよ先輩達!!アイスコーナーはあっちっす!!」



私達の悪ノリに切原君は噛みつくように叫び、それを見て満足した私達はようやくそこから離れた。後輩いじりというのは中々楽しいものだという新発見をし、私は上機嫌で次の場所に向かった。
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