「え?田代が実行委員?本当に言ってんの?」

「…あぁ」

「何それおもしろ!」

「何も面白くないんだが」



昼休み。屋上で皆と昼食をとっていると、ふいに丸井君が今朝のHRの話題を出してきた。勿論主な内容は私が実行委員になってしまったという事なのだが、幸村君はそれを聞くなりなんと爆笑し出した。失礼極まりない。他の人は意外そうな顔をしていたり、同情するように苦笑していたり。何にせよそれらの反応でやはり実行委員は面倒なものだという事がわかる。



「やりたくてやっているわけじゃない」

「そりゃ先輩が率先してやるなんてありえないっすもんねー。くじかなんかっすか?」

「あみだくじじゃ」

「そのような怠惰なものを教師が使うとは…たるんどるな」



いつもは真田君の説教はどこか的外れだから共感できないが、今回ばかりは首を縦に振る。もっとも、自分が当たっていなければ何も思わないのだろうが。



「田代、俺も実行委員だ。サボらないようにな」

「蓮二がいるなら絶対行かなきゃ怒られるね。残念、田代」

「本当にそう思っているのか」



笑顔でひたすらからかってくる幸村君を睨み、避けるように隣にいる彼から離れて桑原君に逃げた。すると桑原君は苦笑し、私の背中を軽く叩いた。



「まぁよ、もしかしたら案外楽しいかもしんねぇし。やってみなきゃわかんねぇだろ?」

「…うん」

「お前今の言葉ジャッカルが言ってなかったら絶対納得してなかっただろぃ」



正直丸井君の言った事は図星だったが、返す言葉もないし無視する。



「実行委員といえば早速明日の放課後に集まりがありますね。生徒会室の掲示板に書いてありました」

「…行くのか?柳君」

「当たり前だろう、迎えに行くからな」



はぁ、と深い溜息が出る。実行委員は各クラスにつき1人しかいないため、私が出ないと全員に迷惑をかける事になるから、出なければいけないとは理解しているのだが…面倒なものは面倒だ。しかし先程幸村君が言ったように、柳君がいる以上遅刻も許されないだろう。現に迎えに来るとまで言っている。なんだかお先真っ暗だ。



「今年は何やんだろなーうちのクラス!」

「女子達の間ではコスプレ喫茶が有力らしいぜよ」

「それ絶対先輩達狙われてますって!あ、でも晴香先輩のコスプレなら見たいっす!」

「私は見せたくない」



うちのクラスの女子は皆、良い人には良い人なのだが団結力が少々強すぎる面がある。わかりやすく言えば、頑固なのだ。まぁ私が考えなければいけない事が少しでも減るならそれもまた良い…と、思うしかないか。



「田代がコスプレするなら俺が衣装選んであげるよ」

「幸村君はクラスが違うだろう」

「え?関係あるの?」

「…頑張ろうな」



なんだか今日の幸村君はいつもに増して楽しそうだ(つまり厄介)。再び背中を叩いてくれた桑原君に私は苦笑し、全くだ、と返した。
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