全国大会当日。

眩しすぎるほどの太陽がコートを照りつけており、観客席は何処を見ても埋まっていて、そんな中彼らは堂々と立っていた。会場内は大変盛り上がっているが、その雰囲気と彼らはまた別物に感じる。



「真田と手塚か…すげぇ試合になりそうだぜ」

「これは見物だぜぃ」



ジャッカルと丸井は、コートを見ながら感慨深げに喋った。2人の会話通り、真田と手塚が同じコートに立つとそれだけで物凄い気迫が感じられる。



「真田君がいつもと違う」

「田代、此処でそれは言わん約束じゃ」



一方晴香はというと、そんな真田のいつもとは違う雰囲気に戸惑いを隠せないようだった。その相変わらずの感性に仁王は苦笑いし、宥めるように彼女の肩に手を乗せる。



「始まるぞ」



そうして柳の言葉で全員がコートに見入り、会話を交わさなくなった。全国大会が幕を開けた。



***



「向こうに入らんかーっ!!」



息が詰まりそうだった。だって、2人共あんなに怪我をしているのに全くそれを物ともしない。体は当の昔に限界を迎えているだろうに、勝つ為に手段を選んでいない。



「ゲームアンドマッチ!立海大附属、真田!7−5!」



見ている方が痛くなるような激闘だったから、勝敗のコールが下されても観客席は静まり返ったままだった。しかしそんな雰囲気の中真田君はよろめきながらも相手選手、手塚君のコートに入り、



「手塚…もう二度と、貴様とはやらんぞ」



そう言って、彼と握手を交わした。そこでようやく観客席は我に返ったのか歓声を上げ、S3は終わった。とりあえず初戦を勝ち抜いたということで立海のリードだ。私は戻って来た真田君にドリンクとタオルを渡し、お疲れ様、とだけ声を掛けまた試合を見る体勢に入った。なんとなくだが、今の真田君にはあまり言葉を掛けない方が良い気がしたから。…それに。



「こんな奴ら、15分あれば充分っしょ」

「…ぶっ潰す」



握手もせず早速挑発しかしていない切原君を、見届けなければいけないから。
 2/5 

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