はじまりの色が舞う

「(ふあーあ)」



カバ並の欠伸を手で添えたりとかして隠すこともなく、おおっぴらに公衆の面前する。だって仕方ないだろう、眠いんだから。

海が見える道路をチャリで横切るのは非常に気持ちが良い。ただ登校中の立海生が少しばかり邪魔だというくらいで、他には何の申し分もない。ノロノロ歩いてる銀髪猫背君を軽く追い越して、校門付近に差し掛かる。



「俺はナンバー1になる!!」



声がするなぁと思って辺りを見渡してみると、視点が定まった場所はまさかの校門の上で、新入生っぽいワカメみたいな頭した男の子が何か叫んでるのが目に入った。生徒指導部の田中先生にがっつり注意されてるし、朝から体力使うことするなぁ。どーでもいいが。

チャリ置き場に着いて、適当な場所にチャリを置く。鍵についてるシュールなキャラクターのキーホルダーの紐に指を通して、くるくると回しながら玄関に入る。今日から新学期だから洗ってきた上履きを鞄から出して、履いて、階段を上る。上った先にはたくさんの人、人、人。嗚呼邪魔くさい、今すぐ皆いなくなっちゃえばいいのに。

騒ぎの中心である新クラスが載っている掲示板の周りには、喜びを友達と分かち合ったり、または肩を落として落胆してる人がたくさんいる。そんな暇があるならさっさと自分の教室に行けばいいのに、とんだ無駄な時間の使い方をしているなぁと思ったのは心に秘めておく。

そして私も見ないことには教室に入れないから、かかとを精一杯浮かせて掲示板に目を向けた。A組にはー…無い、B組にはー…あった。確認次第すぐにその場を離れ、また歩き出す。だって同じクラスの人とか名前見たところで多分誰1人わかんないし。

教室に着けば中に人はまだそんなにいなくて座席指定もされてないから、ちゃっちゃと1番後ろの窓側というベストボジションをゲットする。早い者勝ちだ、文句は言わせない。



「(ねむ)」



しばらく窓から無人のグラウンドを眺めていたけどそれにも飽きて、私は段々騒がしくなってくる状況のさなか、机に突っ伏して爆睡モードに入った。暇な時は寝るのが1番だ。面倒なこと全部から立ち去ることが出来る、快適以外の何でもない。おやすみなさい、面倒なこと達全て。



───これは、こんな廃れた私の憂鬱な日々を綴った物語だ。残念ながらこの物語は私に面倒事ばかりを押しつけてくる。それらをひとまとめにして格好付けて言うならば、憂鬱ラプソディ、と言ったところだろうか。
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