それからも私と千里は着々と料理を進め、オムライスから始まったその品数は結構な値をいっていた。カレー、うどん、パスタ、デザートは光のリクエストで白玉善哉、等々。いくらそれぞれの量を少な目に作ったとはいえ、やはりそれだけの品目を食べれば胃の中が大騒動になるのは容易く予想できることで。

結果、食べ過ぎた。



「えぇーもうあらへんのー!?ワイまだいけるで!?せや、たこ焼きパーティーしようやー!」

「金太郎はん、それは死に直結する行動や」

「(…久しぶりに本当にお腹がきつくなるくらいまで食べた)」



いつだか立海の人達と焼肉に行った時なんて比にならないくらいお腹がきつい。1種類だけでなく色んな料理を食べたからか?なんにせよまだまだ動けそうにない。時刻は18時をまわったところだ、明日も学校だしそろそろ帰りたい気もするのだが、いやでもやっぱ無理。そんな終わりのない葛藤をグルグルと脳内で繰り広げていると、ふいに謙也があー!と叫びながら私の横に寝転がった。



「ほんま腹きつい!破裂しそうや!」

「えいっ」

「ぐはっ!ちょ、やめろや晴香!出るからほんまに!」



隙だらけのお腹を軽くつつけば、全力でガードされた上に軽く叩かれた。そんなにか。



「晴香妊婦みたいやー!」

「そない細くても食ったら腹は出るんやぁ」

「ユウ君!女の子に失礼やで!」

「胃下垂ちゅーやつすか」

「正解」



周りからも散々言われている通り、私は完全に胃下垂だ。親も2人ともそうだし、食べたらまずはお腹に出る。ここまで食べたのは久しぶりだから、その出具合も並大抵ではない。



「まぁ、出せば元に戻る話なんだが」

「女の子がそないなこと言ったらいけませんー」



しらっと言葉を発すれば、蔵ノ介がぽんぽんと私のお腹を叩きながら言い返してきた。それに千里が同意して笑う。今は出来ればお腹に触れて欲しくないんだが。



「何はともあれ今日の目的は達成やな、美味かったでー料理!」



それからも他愛もないことをだらだらと話していたら、ふいに謙也はそう言って上体を起こした。どうやら復活したらしい。そしてそれに皆も頷いて、口々に様々な褒め言葉が私に投げかけられる。



「…ありがとう」

「あ、照れとるー」



立っている光が私の顔を覗き込むように言ってきたのを合図に、両隣に上体を起こした状態で座っている謙也と蔵ノ介は、からかうようにお腹をつついてきた。なんだこの人達、くすぐったいしお腹きついし凄い迷惑。



「ワイも仲間に入れてやー!」

「うぐっ、!」

「…金太郎さぁん、やりすぎやー」



と思ったら、なんと金ちゃんが思いっきりお腹の上にダイブしてきた。小春の若干引いた声と皆の爆笑が聞こえる。



「…愉快な人達だ」



そもそもの目的は料理を習うことだけだったが、結局はまたこの人達のおかげで…まぁ、楽しい、というのか。そう言える時間を過ごすことが出来た。



「またいつでも教えるばい」

「あぁ」



立海とは全く違った雰囲気を持つ人達だが、こういうのも悪くないと素直に思ったのは、口には出さない。
 4/4 

bkm main home

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -