「(だいぶ減ったな)」 途中で切原君の野次が入ってきたりして若干額に青筋が浮かんだが、それでもなんとかこれまでの試験はクリアしてきた。 内容を説明すると、まず名前を言った時に声が小さかった3人は即座に落とされた。更に、丸井君と仁王君が言っていたのよりハードルが上がり、握力25kg以下の8人が落とされた。ここまでで約半分の人が落とされ、そんな状態でいよいよ本格的な試験が始まった。 最初に、テニスボールが満杯に入った籠を2つ持ってテニスコートを何周出来るか、という試験を行った。ちなみに私は20周で、21周の人が1人いた為2位となってしまったが、なんとか残る事が出来た。ここで落とされたのは10周以下の5人、残り7人。 次に、テニス部側から用意された必修教科の問題プリントを解かされた。こんな試験が来るとは予想外だったが、マネージャー試験を受けると決めた時から筋トレだけではなく、勉強にも力を注いできた。勉強面で部活に支障が出ては元も子もない、と考えたからだ。ここで落とされたのは1教科でも60点以下を取った3人、残り4人。 「ここまで残ったことは褒めよう。しかし、この試験が1番重要だ」 「俺達レギュラーと集団面接を行う。今他のレギュラーも呼んでくるから、座って待っててくれ」 そして、最終試験、集団面接。真田君と柳君がそう言って部室から一度姿を消すと、私以外の希望者3人は盛大な溜息を吐いた。確かに吐きたくなる気持ちはわかる。 「疲れたー…!厳しいとは聞いてたけどこんなに厳しいのは予想外だわー…」 「うん、私も…あーあ、こんな厳しい中でレギュラー達と仲良くなれるのかなぁ?」 「…それが目的なの?」 どうやら3人は皆1年生のようで、軽い口調で言葉を交わしている。しかしそのうちの1人が、何やら不満げな口調で2人に突っかかった。 「いや、別にそれだけってわけじゃないけど…どうせなら、ねえ?」 「うっわ、ありえない。結局先輩目当てなんだ」 「そんなこと誰も言ってないじゃん!」 …ちょっと待て、何故ここで喧嘩が始まる。私が呆気にとられている間にも3人は椅子から立ち上がり、言い合いを始めた。その瞬間に部室のドアが開く。 「おーおー、何やら言い合ってるのう」 「喧嘩っすかー?」 レギュラー達が入ってきたことにより3人は静まり着席したが、室内にはあまり良くない雰囲気が流れた。まぁこんな所で気まずさを感じている余裕もないのだが。 「ではこれより、集団面接を始める」 前を向けば、真ん中に真田君、その両隣に柳君、柳生君、あとは適当に座っている。全員から視線を感じるが無視。特に切原君、見すぎだ。 何はともあれ、これで最後だ。全てが決まる。私は今一度気を取り直して、前を見据えた。 |