09

「いやー、あいつらふざけてるように見えてすっげぇんだな」

「本当にねー」



そんな会話を交わしながら、正人と一緒に全国大会会場までの道のりを歩く。私達はこれまで2回皆の試合を見てきたから、もう道順はバッチリだ。確か今日の対戦校は青春学園、だったかな?…中々恥ずかしい名前だと思ったのは秘密。何はともあれ、この試合に勝てば皆はいよいよ決勝に進めるのだ。そうとなれば応援する側も俄然張り切る。



「勝ってほしいなぁ」

「でもあれだろ、あいつら自身楽しんだもん勝ちとか言ってるし、楽しければいいんじゃね」

「そりゃそうだけどさ」



「やっぱり勝ってほしいじゃん」と私がぼやけば、正人はあやすように「はいはいそうだな」と言った。なんか馬鹿にされてる気分だけど、言い返す言葉もないから何も言わない。

そうこうしているうちに、会場にはすぐ到着した。皆は自主練を始めてるとかで外れの方にあるコートにいるらしい。そこまでの道のりの地図を携帯で送ってもらってあるから、私達はそれを見ながら再び足を進める。えーっと、右行ってー右行ってー左行ってー…



「お、亜梨沙さんに正人や!」



いた!

各々が励んでいるその光景をフェンス外から見ていると、1番最初に蔵君がこっちに気付いた。そうすると皆も気付き、口々に挨拶を交わす。何やら青春学園には金ちゃんと張り合うくらいのルーキーがいるみたいで、その存在のおかげか皆の覇気はかなり上がっているように見えた。いつもならすぐに抱きついてくる光君と金ちゃんも、今ばかりは真剣だ。



「姉ちゃん顔緩みすぎー」

「…うるさいよ」



その様子を見て無意識に笑顔になっていたのか、正人に頬を軽くつねられながらそう言われた。それに乾いた笑いを浮かべながら返事をすると、コートから「正人さん亜梨沙さんのことつねんなや!!」と怒鳴る光君の声が聞こえた。…あれ、さっきの真剣さは何処に?
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