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「(どうか幸せに過ごせますように)」



除夜の鐘が鳴り響く中、近くの神社のお賽銭の前で必死に手を合わせて祈った願い事は、多分誰よりも切実だと言い切れる自信がある。

去年は本当に厄年だった。彼氏には振られ、そのせいで傷心した帰り道に交通事故に遭い、大好きだったおばあちゃんが死んで、更には親の離婚まで重なって。



「今年からはお母さんと頑張ってこな、亜梨沙」

「うん」



それが理由で高校からはお母さんの故郷である大阪に引っ越すから、勿論中学の友達ともお別れとなる。小さな公立中だったけど、それなりに楽しい日々を過ごせていたからやっぱり結構寂しい。



「(これからどうなるのかな、私)」



でも、やることなすことグダグダだった去年とはお別れして、今年こそは何か良いことが起こると信じたい。あわよくば、ドラマのように良い展開が訪れますように、なんて。



少女のドラマ

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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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