そして、年は明け。



「一応甘味処だからね、和をベースにしたケーキとかどう?抹茶ムースケーキとか!」

「わぁ、良いですねー!」



光君との約束通り、店長に皆のサプライズについて相談していると、その輪に戸田さんも入ってきて一気に話は進み始めた。常連である皆のお祝いは2人も積極的に協力してくれて、本当に感謝でいっぱいだ。

あらかじめ光君から聞いておいた予算の中で、どれだけのものをもてなせるかを3人で考える。今後新しく開発していくメニューの参考にもなるし、何より凄く楽しい!



「亜梨沙ー!!」

「っ、あぁー!いらっしゃいませー!」



でもそんな風に女3人でキャッキャと騒いでいる所に、まさかの皆が来店して来た。最近は来る事が無かったからちょっと油断してた…手元にあるケーキのデザイン用紙を急いで隠した私を見て、光君は苦笑いでアイコンタクトを取ってきた。他の皆にはバレてないから良いものの、凄いタイミングだなー。



「皆久しぶりだね。もう学校始まってるの?」

「昨日から始まりました。亜梨沙さんとこは?」

「明日からだよー」



皆の元にまずはお茶を持って行き、1番側にいた蔵君に話しかけてみる。蔵君以外の皆は一度私に挨拶をした後、我先にメニューを見ようと必死になっている。そんな変わり映えの無い光景に小さく笑えば、やっぱり皆の保護者である蔵君が「うるさくてすんません」と軽く頭を下げて笑った。



「皆元気そうで安心した。受験勉強はどう?」

「もー聞いてや亜梨沙ー!皆全然かまってくれんくてワイ暇なんやでー!」

「しゃーないやん!俺なんてこん中で1番勉強せなあかんもん!」



そういえば前に金ちゃんと謙也君には勉強を教えたなぁ、なんて既に懐かしく感じる出来事を思い出し、また笑う。大変な事には変わりなくても、切羽詰ってるわけでは無さそうだから良かった。



「亜梨沙さん、トイレ借りますわ」

「うん」



そこで光君がトイレの為に立ったから、私もキッチンへ戻る為皆の元から離れ、彼と一緒に歩き出す。トイレとキッチンは方向が同じだ。折角だからこの機会を使って光君に話しかける。



「店長も戸田さんも大賛成してくれたよ。さっきね、ケーキのデザイン考えてたの」

「亜梨沙さんバレバレっすわ、俺噴き出しそうになりましたもん」

「ごめんごめん」



おどけながらそう言ってみせると、光君は一度私の頭をポン、と叩いてくれた。光君にこうされる事は中々珍しいから(ちなみに1番してくるのは千里君だ)少し目を丸くする。



「頼みます、亜梨沙さん」

「…うん!」



光君の優しい笑顔を見て、皆の楽しそうな笑顔を見て、店長と戸田さんの頼もしい笑顔を見て、更に私のやる気は急上昇した。皆に今までで1番喜んでもらえるメニューを作る為に、頑張るぞー!
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