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「いらっしゃいま…あっ!」

「どもー」



ドアが開いた方に目を向ければ、そこにはここ最近で随分見慣れるようになった皆がいた。蔵君を筆頭にぞろぞろと入ってくる皆を、いつもの定位置に案内する。



「今日は亜梨沙さんのおすすめ頼んますわー!」

「ふふ、分かったよ」



ユウジ君とは朝も一緒に登校するようになって、最初は人見知りなのか少し強ばってた感じはあったけど今じゃそれもほとんど無く、こんな風に気さくに話しかけてくれる。だから私もそれに笑顔で対応して、注文票にクリームあんみつと書いた。



「白玉ぜんざい頼んます」

「光君はいつもそれだね」

「好きやし、此処のはどんだけ食うても飽きへんし」

「ねー、それ私もわかる!」

「ワシもそれでお願いします」

「わかったよー」



いまいち掴み所が無くて扱いにくかった光君も、ユウジ君から聞いた話や接している感じでただ単に照れ屋なことを知って以来はなんだか可愛く思えている。銀さんは元々口数が少ないみたいだから会話という会話はあまりしてないけど、なんかこう、物凄く頼もしい。貫禄ばっちりだ。



「あら金太郎さん、今日はそれにするん?」

「せや!今日これ食ったらメニュー全制覇になるねん!」



小春君と金ちゃんに関しては、2人の性格から読み取れるように最初から凄くフレンドリーに接してくれた。特に金ちゃんは事ある毎に私を呼んではその無邪気な笑顔を向けてくれて、すっかり私の癒しの源にまでなっている。



「んんー…!」

「はよ決めるったい、待たせとるとね」

「気にしなくていいよ」



謙也君も千里君も第一印象と変わらずマイペースで、ずっと見てても飽きない面白味がある。そのマイペースの種類もまた違うものだからよけいそう感じるのかもしれないなぁ。



「ほな、以上で」

「かしこまりました、少々お待ち下さいねー」



皆をまとめる蔵君は言わずもがな、言うならば…お父さんみたいな、お兄ちゃんみたいな、そんな包容力を持ってる。これだけ個性が強いのにバランスがうまーく取れてる集団も珍しいよなぁ。私は厨房に行く前に彼らに少し視線を向けながら、そんなことを思った。
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