「ざいぜーーんっ!!」

「なんや金ちゃん、うっさいわ。先輩らまでどうしたんすかそんな大勢で暑苦しい」

「折角迎えに来てやったのにそれはないやろ!」

「いや別に頼んでへんし」



焼きそばパンを食うことを止めずにそう言えば、謙也さんはムキになって飛びかかってきた。それに便乗して金ちゃんとホモップルもまとわりついてきて、一気に空気だけでなく体も暑苦しくなる。なんなんこの人ら、ほんまキモいっすわ。ちゅーか部長も千歳先輩も笑ってないで助けてほしいんやけど。



「光、今日から屋上開放よ!また皆で食べましょー!」

「…あー」



もうそないな季節か、と1人頭の中で想い耽る。去年もそうやったけど、この人らは屋上が開いとる限り絶対そこで昼休みを過ごしとる。毎日毎日よう飽きへんなーとか思いつつも、結局俺も巻き添えくらってたんやっけ。



「ワイ屋上初めてや!ごっつ楽しみー!」

「そういうことばい、屋上が閉鎖するまでまた皆一緒けん」

「ほな行くでー」



そうして俺達はクラス中の視線を浴びながらぞろぞろと屋上に向かい始めた。俺は歩くの面倒やから謙也さんに引っ張ってもろてるだけやけど。「重い!離せ!」んなもん関係あらへん。



「そうえば白石ー、次はいつ亜梨沙んとこ行くんや?ワイ亜梨沙に会いたいー!」

「せやなぁ、来月から府大会も始まって忙しくなるからなぁ。今のうち行っとこか」

「まぁ俺は毎朝一緒やけどな!」



ユウジ先輩がどや顔かましながらそう言うたら、金ちゃんはずるいー!と駄々をこねはじめる。ちゅーかあの甘味処教えたの俺なんやけど、そこらへん忘れんといてほしいわ。

そうこうしとるうちに。屋上にはすぐに着いた。



「んーぼちぼちやな!ほないつものあの場所にするで!」



屋上には数える程度の人しかおらんくて、俺達はお馴染みの場所である給水塔の上によじ上った。で、そこで輪になる。結構な狭さやしほんまはここ上んの禁止されとるんやけど、屋上に教師なんて滅多に来んから普通に使っとる。うっさいこの人らと飯食うんは好きっちゅーわけやないけど、こっから見渡す景色は割と好きやったりする。



「ほないっただきまー…あぁあああぁあぁあ!!!」

「っ、なななな何やねん急に大声出さんといて!」

「もー謙也ったらビビりなんやからー」



小春先輩の言葉に反発しとるアホ謙也さんはほっといて、いきなり叫ぶとかなんやねん金ちゃん。謙也さん以上にビビっとる人はおらんけど、今のはさすがにビビったわ。そう思い若干睨みを利かせながら金ちゃんを見ると、当の本人は興奮した様子で隣の高校の方を見ていた。



「あれ!!亜梨沙やない!?」



ただでさえ狭い給水塔に勢いよく立ち上がった金ちゃんを、銀さんがものっそい勢いで座らせる。懸命な判断やな。ちゅーか亜梨沙さんて、なんでこないなとこにおるねん。んなことあるわけ…



「…あった」

「亜梨沙ーー!!!」



俺達の隣にある高校の屋上には、確かにアホ面でこっちをぽかんと見とる亜梨沙さんがおった。ほんまアホ面や、写メっとこー。
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