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「何やこれ!?ごっつ美味そうやん!ほんまに亜梨沙の手作りなんか!?」

「うん、バイト先で習ったやつ作ってみたの」

「食べたーい!」

「器用やなー羨ましいわ」



昼休み。クラスで一緒に行動をとっている香菜子、沙希、幸江といつも通り教室の一角で机を合わせてお弁当を広げたと同時に、私はある物を3人の前に出した。それは、この前店長に作り方を教えてもらった柏餅だ。そろそろ慣れてきた頃かと判断されたのか、金ちゃんに新メニューを試食してもらった時辺りから少しながらも調理も手伝うようになった。だからこれは見よう見まねに過ぎないけど、我ながら上手く出来た方だと思う。



「せや、どうせなら屋上行ってお茶会せえへん?確か今月からやろ、屋上開放」

「うおっそれナイスアイディア!さっすが香菜子!」



興奮して椅子から立ち上がる沙希を、幸江は慣れた様子で座らせる。

私達4人は、香菜子は女らしくて頭の回転が速い、沙希は男勝りでとにかくパワフル、幸江は大人っぽくて冷静、てな感じでタイプはバラバラだけど、だからこそ何かが合うのかかなり上手く調和されていると思う。私はー…まぁなんの特徴も特に無いただの平凡女だけども。うん。



「自販機に抹茶とか売ってへんのー!?」

「ほんまアホやろ」



屋上へ行く為に廊下を出ると、そこでも沙希と幸江のコントは繰り広げられる。なんだかんだツッコんであげてるとこを見るとやっぱり仲良しなんだなぁって思うし、凄く和むんだよねー。そう思ったのは香菜子も一緒だったみたいで、隣に視線を向けると楽しそうに笑っていた。



「(良かったぁ、皆に会えて)」



最初は大阪人の勢いについていけなくて困っていたけど、こうやって話してみると色々な面が見えてくる。幸江なんて美術の授業で席が隣になんなきゃ絶対話しかけれないタイプだったし、気の合う友達ってひょんなところから出来るんだなぁと改めて実感した。



「かいほーうっ!!」



沙希が派手な音を立てて扉を開けると、今月から開放なことを皆忘れてるのか誰1人としてそこにはいなかった。ゴールデンウィーク明けだし休みボケしてて当然かー。



「やった、誰もおらへん!真ん中占領しよーや!」

「えー陽当たるやん」

「幸江肌白いもんねー、陽射し苦手なの?」

「暑いの嫌い」

「中学の頃から体育だるそうやったもんなぁ」



ちなみに、幸江と香菜子は中学の頃から仲が良いみたい。だから幸江と話すようになってからは自然と香菜子とも話すようになった。沙希はー…お弁当を忘れて死にそうなところを、パンをあげて助けてあげたのがキッカケだったかな?確か物凄い力で抱き締められて、若干生死をさまよった覚えがある。



「いっただきまーす!!」



とまぁそんな感じで、結局沙希の強い願望で私達はど真ん中でお昼を食べることになった。降り注がれる陽射しは心地良いを通り越して若干暑かったけど、それでも、そこから退けようとは思わなかった。
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