「ふうー…ん?」 用意されていたバスローブを着てバスタオルで髪を吹いていると、服の上の置いてある携帯のランプが点滅してるのに気付いた。携帯を開けば新着メールが1件届いていて、相手は香月だ。 色々頑張って! って、色々ってなんだろう? 「うぅ、寒い…!」 どういう事?と返事をしようと思ったけど、そこで体がブルッと身震いした。そうだ、まだ髪も乾かしてないし湯冷めしちゃう。そう思った私はまず髪を乾かし始める為に早々とドライヤーと手に取り、乾かす事約5分。完全ではないけど大体乾いた状態で、香月に返信する前に景吾に聞いてみようと思い隣の部屋に戻る。 「あ、ご、ごめん」 「いや」 そうしてノックもせずにドアを開けると、そこには上半身裸でタオルで頭を拭いている景吾がいた。わーかっこいい…じゃなくて、このメールの意味聞かなきゃ。 「ねぇ景吾、香月からメール来たんだけどこれってどういう意味だろう?」 「なんだ、見せてみろ」 なるべく景吾の方を見ないようにしながら携帯を渡して、景背中を向けて返事を待つ。ってあれ、応答無し? 「もしもーし?」 「野暮な事言わせんじゃねーよ」 「え?何が、」 すると、タオルが床に落ちた音がしたと思ったら、ふいに後ろから抱きしめられる。初めて直接感じるその体温に、思わず体が縮こまって声が出なくなる。 「景吾?」 「俺で、いいか」 もう一度聞き返すものの返事はない。景吾の心臓が凄く速いのがわかる。でも、それは景吾だけじゃなくて私も一緒だ。 そういう事、なのかな。 分からないなりに考えてみた結果、私の答えは勿論1つしかなかった。 「良い、よ。むしろ、景吾が良い」 もっと触れたい。もっと感じたい。こんなに胸が熱くなるのは初めてでどうすればいいかわかんないけど、私の言葉で景吾は安心したように息を吐いた。 優しく抱き上げられて、ベッドにそっと寝かせられて、部屋中に自分の心臓の音が響き渡るんじゃないかってくらいバクバクする。どうしよう、緊張してるどころの騒ぎじゃない。 「緊張する」 「そんなの俺も一緒だ」 真上にいる景吾が別人に見える。凄く大人で、男の人って感じがする。 「でも、嬉しい。本当に幸せだよ、景吾」 私の言葉に少し目を瞠った後、目尻を下げて優しく微笑まれる。その後聞いてるこっちが恥ずかしいくらいの言葉を沢山かけられたけど、それでもやっぱり嬉しくて堪らなかった。だって相手が景吾だから。この人の為ならなんでも出来る、この人が相手なら何でも良いって、随分前から分かってた。 「泉、愛してる」 「う、ん」 そう言われてまた泣いてしまった私にキスをしてくれたこの日の夜を、きっと、いや、絶対に私は忘れない。 「ずっと、側に居て下さい」 もう言わなくても、ね |