喜びをあなたに

「泉!」

「はい?」

「おめでとう、新連載受け持つことになったわよ!」

「…え?」



それは、あまりにも嬉しすぎる出来事でした。



***



「やったやったぁーーー!」



MAGICの撮影が終わった直後、北野さんは待ってましたと言わんばかりの勢いで新連載の件を私に言い渡した。最初はそれこそびっくりしたけど、実感した今、本当に嬉しくてたまらない。PICK UP MODELにも出られて個人の新連載も受け持つ事にもなって、まさにこれは絶好調としか言いようが無い。その代わり、今までは月1だったMAGICの撮影日数が月2になるみたいだけど、そんなのは勿論苦じゃない。むしろどんとこいって感じだ。

私が持つ新連載は、題名はまだ未定だけど街角スナップ的なものだと聞いた。対象者は高校生〜20代前半の男女、だとか。

とそこで、この嬉しさは1人でかみ締めるより誰かと分かち合いたい!そう思った私は景吾に電話する事にし、急いで携帯を取り出した。着信履歴から番号を引っ張って、1コール、2コール。



「どうし」

「景吾ー!」

「…何があったんだ?」



すぐに電話に出てくれた景吾の言葉を遮って、興奮を隠さずに話を続ける。



「あのね、雑誌で連載持つことになったの!」

「ほぉ、やるじゃねぇーの。よかったな。オイ、テレビ電話に切り替えろ」

「へ」



すると景吾がいきなりそんな事を言うから、慌てて手櫛で髪を整えて、テレビ電話に切り替える。



「嬉しそうな顔してやがるな」



これでも早く切り替えたつもりだったんだけど、画面の中には既に景吾が映っていた。何でそんなに普段から髪型整ってるのか問い詰めたい。というのはおいといて、柔らかく微笑みながら言われた言葉に思わずくすぐったいような気持ちになった。きっとこれが直接会ってたら頭に手が置かれてるんだろうなぁ、という予想まで出来てしまう。



「頑張れよ、Miu」

「…景吾が言うと変」



茶化すような声色に口を尖らせれば、冗談だと言ってまた笑われた。

それからしばらく他愛も無い話を続けて、10分くらい経った所で電話を切った。



「よーしっ、頑張ろう!」



1人部屋の中でそう意気込んだ私は傍から見ると大層怪しいのだろうけれど、そんな事は気にしていられない程気持ちは高揚していた。折角のチャンスは絶対に無駄にしないと決めたのだ、やるからにはやってやる!
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