「じゃあ、私は今日六角と青学を担当するから、後の3校頼めるかな?」

「はい、わかりました!」

「また3校も任せちゃってごめんね。私がするべきなんだけど、却って効率悪くなったらアレだからさ」

「全然大丈夫です!」



先程の騒動は収まり、彼女達は2日目の仕事に入ろうとしていた。メンバー達は既に練習を始めているようだ。



「休憩は今から約1時間後。30分前には回収BOXにドリンクとタオルそれぞれ入ってるはずだから、必ず取りに行ってね」

「昨日より休憩時間も長いから仕事もハードになりそうねー…」

「頑張らなくちゃ!」

「そうだね、頑張ろっか」



昨日は合宿所に着いたのが午後だった為、そこまでドリンク、タオルの回収回数は多くなかったが、これからは朝からみっちり行うことになってる。それに比例し、マネージャー業も並大抵では済まされないのだ。

それでもしっかりとこなそうとするのが彼女達の長所だろう。朋香と桜乃もマネージャー歴が長いおかげか依然張り切っている。改めて3人で意気込んだところで、彼女達はそれぞれの仕事に取り掛かった。



***



「剣太郎、さっきはもったいなかったね?」

「え、えっ!?」

「彼女、着痩せしそうだから心地良かったんじゃない?」

「サエさぁあぁん!!!」



六角コートでは、葵を大いにからかう佐伯の姿が見られた。葵も葵で過剰に反応してしまうのがいけないのだが、佐伯のこんな所は馴染みの深い不二にそっくりである。



「あ、回収しにきたよ」

「自己紹介も兼ねて行ってみようか」



そこで佐伯と木更津は此方に来る泉の姿を捉え、果たしてそれだけが目的なのかは別として、彼女の元へと駆け寄った。他の者も勿論彼らに続く。



「泉さーん!」

「あ、剣ちゃん…と?」

「やぁ」



彼らの存在に気付き、一度泉は回収BOXを地面に置き、そちらに向き合った。葵の次に挨拶をした佐伯に、軽く頭を下げ対応する。



「自己紹介しにきたぜ!」

「そうなんだ、わざわざありがとう」



黒羽の爽やかな笑顔に同じように笑顔で返し、彼らの言葉を待つ。



「3年の佐伯虎次郎だよ。皆からはサエって呼ばれてる」

「じゃあサエって呼ぶね」

「いっちゃんなのねー、よろしくなのね!」

「いっちゃんね!」

「木更津亮だよ。好きに呼んで」

「黒羽春風だ!バネでもバネさんでもどっちでもいいぜ!」

「亮君とバネさんで」

「2年、天根ヒカル…駄洒落が思いつかない」

「うーん、個性的ー」

「…ダビデです、よろしく」

「よろしく!私のことも何て呼んでも構わないから。これからよろしくね。それじゃあ、休憩まで頑張ってね」



各々の自己紹介が済んだ後は軽くお辞儀をし、そのままBOXを持ち上げ颯爽とマネ室へと戻っていった泉。そんな彼女の背中を見て、彼らはこれまで彼女に抱いていたイメージを良い意味で覆されたことに、感心したように息を吐いた。



「見た目に反して明るいのねー」



とはいえまだそんな表面上のことしか分からないが、果たして六角陣、これからどう出ることやら。
 3/10 

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