「来た来た!ここ座れよ!」



ジローと一緒に休憩に入るなり、私達はまず向日君の教室に遊びに来た。このクラスは衣装では無く私服で統一しているみたいで、ポップな印象を受ける服装が凄く似合ってる。髪も赤いせいか、なんだかより一層輝いてるよ向日君ー。



「何食う?」

「俺プルコギバーガー!」

「私はー、どうしよっかなぁ。無難にチーズバーガーにしようかな」

「オッケ!ちょっと待ってろ!」



テキパキと跳ねるように動く向日君は、来る人来る人に笑顔を振り撒いていて全力でこの学祭を楽しんでいるようだった。ジローもそんな姿を見て「がっくん、飲食業向いてそうだね」って言ってるし、誰の目から見ても間違いないみたい。



「そういえば、泉って好きな人いないの?」

「へ?」



しばらく適当に会話をしていると、脈略も無くそんな話題を振りかけられた。ジローの言う“好きな人”にどういう意味が含まれているかくらいは理解出来るので、余計言葉に詰まる。まさかこんな事をジローから問いかけられるなんて、って感じだ。



「あんまりそういうの考えた事無いから、きっといない。わかんないけど」

「そうなんだー」

「ジローはいるの?」

「うん!いる!」



そういえば皆の恋愛話ってあんまり聞いた事無かったかもしれない。だから純粋な興味でどんな人?と聞いてみると、ジローの顔から笑顔が消えた。でもそれは一瞬の事で、すぐにまたいつものニコニコジローに戻る。



「その子が嬉しいと俺もワクワクしちゃうんだ。その子の笑顔が大好き。でも、その子は多分他に好きな人がいると俺は見てる!」

「そうなの?」



明るく振る舞いつつもちょっと寂しそうなジローに、恋愛を全然知らない私がかけられる言葉はきっと無い。だからそれだけ聞き返すと、また元気に「うん!」。



「その子が好きな人の事は俺も大好きだから良いのー。今は、2人が早く幸せになってくれればなぁって思ってるんだ」

「偉いね、ジローは」

「分かんない、逃げてるだけかも?だから泉も、早く自分の気持ちに気付けると良いね!」

「え?私?」



急に話が私に向けられついびっくりしたものの、それと同時に向日君が注文を運んで来る。そうなればジローの意識はすっかりそっちに行っちゃって、その言葉の続きを聞くタイミングは完全に逃した。



「これ超美味C!泉も食べる?」

「ありがとう。私のもどうぞ」



自分の気持ちって、なんだろう。
 2/5 

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