お祭り騒ぎの用意

「じゃあ、出店何やりたいか希望ある奴挙手ー!」



振り替え休日も終わり、週の始まりである月曜日。本来ならば1時間目のこの時間、生徒達は皆眠気を堪えきれず中には爆睡する者まで現れるが、今日のA組にそのような光景は見られなかった。



「研修旅行が終わったかと思えばすぐ学祭かぁ」

「ウチの学校は行事が好きだからな」



他人事のように話している泉と跡部はさておき、教室内では沢山の手が挙がっていた。それを担任が1人1人順番に当てて行き、出された候補の中で多数決を取る。コスプレ喫茶、駄菓子屋、縁日など学祭ならではの案が黒板に書き綴られたが、1つだけ圧倒的票数を誇るものがあった。



「これまたベタというか何と言うか」



香月の呟きに2人は同意するように頷く。ちなみに芥川は例に漏れず寝ているので彼の意見は尊重されない。

最終的に丸が付けられたのは、1番最初に出た案のコスプレ喫茶だった。クラスメイトが何故これを選んだかなど理由は聞くまでも無く、先程から視線は跡部や泉に向けられている。



「あんたら良いカモにされる事間違いなしだね。頑張れ」

「余裕面かましやがって…」

「楽しければなんでもいいんだけどなぁ」



そこでLHR終了のベルが鳴り、生徒達はパラパラと席を立ち休憩時間に入った。と同時に、廊下からうるさい足音が聞こえる。



「おーい!お前らんとこ何になったー!」

「走らなくたってええやろ…朝から体力使ったわ」



バン!と扉を開けて現れたのは、忍足の腕を引っ張って意気揚々としている向日だった。その賑やかさで芥川も目を覚まし、出し物がコスプレ喫茶に決まった事を伝えると覚醒モードへ切り替わる。「泉のコスプレとか絶対可愛いC!」どうやら彼も周りとさほど考えは変わらないようだ。



「へぇ、コスプレ喫茶とか他のクラスと被りそうだなー。まぁお前ら4人がいれば売上1位間違い無しだよな!」

「当然だろ」

「面倒臭そうな割にそこだけはちゃっかり肯定するのね」

「まぁまぁ。2人は何やるの?」

「俺んとこはハンバーガー屋!結構本格的だぜ!」

「こっちは展示や。あらゆるランキングを作って全校生徒にアンケートするみたいやで」



そうして彼らは時間が許すまでの間雑談に花を咲かせ、結局2人がA組を去ったのは休憩終了1分前だった。



「わっくわくだCー!」



先程から興奮しかしていない芥川に呆れつつも、なんだかんだ全員が楽しみにしているのは、最早言うまでもない。
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