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「んじゃあいつらにもよろしく頼むわ」

「3連休だっていうからもっとゆっくり出来ると思ったのに、ちょっと残念」

「後輩にヘルプ頼まれちゃどうしようもないしな。またすぐ来るぜ」

「うん、頑張ってね。いってらっしゃい」



翌朝。急に仕事が入ってしまった優兄を玄関まで見送り、バタン、と閉まった扉をなんとなく見つめていると、背後に人の気配がした。まだ7時にもなってないのにこんな早起きなの誰だろうなぁと思いつつ後ろを振り返ると、



「帰ったんじゃの」

「あ、雅治か」



その先にいたのは雅治だった。玄関で立ち話も何なのでそのまま一緒にリビングに戻る。



「良い人なり」

「好かれるタイプだからね。また機会あったら呼ぶね」



リビングに戻ったら起きてる人達がちらほらいて、そこで私は夜中に景吾に言われた言葉を思い出した。

そうだ、もう皆にバレてるんだった。そのせいか微妙に背筋がピンと伸びて、緊張している事を悟られたのが雅治がぽんぽん、と背中を叩いてくる。それに応える為に一言「おはよう」とリビングに向かって声をかけると、起きてる何人かの人達はいつもと何ら変わらず、至極普通にそれぞれ返事をしてくれた。



「な、なんも心配いらんじゃろ」

「…うん、良かった、本当に良かった」

「さあて泉、腹が減ったぜよ」

「うん!朝ご飯作るね!」



目頭をこすったり、眠たそうな表情の皆から普段の威厳さは少しも感じられない。でも、それがまた何か新鮮で、特別で、嬉しくなった。



「泉ー、ホットケーキー」

「はいはい。ブン太、寝癖ついてるよ」



ご飯の香りにつられて続々と起きてくる皆、そして一言目に必ず「おはよう」と言ってくれる皆を見て、ちょっとこの浮き足立つ感じはしばらく抑えられそうにないなぁと思った。
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