そして全員が支度を終え、とうとう別れの時が近づいてきた。 「早かったねぇ」 「まだ色々やり足りないですよ本当にもー!」 「私、合宿がこんなに楽しかった事なんてありませんでした」 「私もこんな楽しいものだなんて思ってもなかったよ。きっとこのメンバーだったからだと思うけど」 寂しい雰囲気が漂う中泉が笑顔でそう言うと、朋香と桜乃もつられるように笑った。 「1週間色々教えてくれてありがとね。また集まってお話ししようね」 「泉さんから教えてもらったストレッチ絶対やり続けます!次会う時はナイスバディになってるはず!」 「期待してる!」 「あの…色々と相談に乗ってくれてありがとうございましたっ!また会った時は是非お願いします!」 「勿論、2人とも色々頑張ってね」 そのようにマネージャー同士の挨拶をし終えた頃、ちょうど遠くの方で集合がかかった。それを聞いて彼女達は目を合わせ、駆け出した。 *** 「これより閉会式を行う。司会進行は、我が氷帝学園の跡部に一任する。跡部、前へ」 「はい」 颯爽と壇上に上がって行く景吾を見て、ふと頭の中に初日の光景が再生された。何も聞いてないのにいきなり全員の前で紹介されて、最早帰りたいなんて思ってたよなぁ。 今思えば、たった1週間で凄い濃い日々を過ごしたような気がする。見よう見まねだったテーピングも今じゃ慣れっこだし、見る度にクラッときた血にももう動じなくなったし。 「今回は、俺様を含め全員が満足できた合宿だっただろう」 景吾の俺様は元から慣れっこだったけど、なーんて。 私の為に赤也君が怒ってくれた事もあったなぁ。ちょっと申し訳ない思いもさせちゃったけど、あのストレートな気持ちは素直に嬉しかった。浴場で焦ってた時に雅治が現れた時は流石に驚いたなぁ。といいつつ、なんだかんだいっつも助けてくれたのは景吾だったんだけど。 合宿で何人かに正体がバレちゃった事は、今でも大失態だったと反省している。でも、バレたのがこの人達で良かったと思うくらいには立ち直れている。 これからは仕事に没頭する日々が続く。もうマネージャー業をやる事はほぼ無いに等しい。でも、お呼ばれされた時は是非とも1番に行きたいな、と1人願った。 |