「やぁ、どうしたの?」

「んぉ!?泉!?」

「ちゃんと食べてから話す!」



立海では精市が出迎えてくれて、反応して駆け寄って来たのは近くにいたブン太だ。でもお菓子食べながら来たから正直汚い!それを全面に出して注意してみれば他の皆も便乗して、どの学校もそうだけど、1回話し出すと止まらない傾向があるよなぁと分析。それがまた面白いんだけど。



「お前ら静かにせんか!」



結局真田君の喝でその場は落ち着きを取り戻した。

そうして話し始めようと思ったものの、立海は氷帝までとはいかなくてもその次くらいに交流が深かったから、こうやって改まるのは少し恥ずかしい。なので思わず言葉に詰まると四方八方から茶々が入って来たので、私は気を取り直すように咳払いをしてから背筋を伸ばした。



「氷帝並に個性が強くて、大変な面は確かに沢山ありました」

「だろうな。お前が苦労するのは目に見えていた」

「…でも、だからこそ1人1人をちゃんと見る事ができたし、そのおかげで嬉しいこともたくさんあったと思ってます。えー…」

「照れてるー!」

「うるさいよ。それで…うん、本当、なんて言うんだろ、救われました。マネージャーの私がこんなこと言っちゃ矛盾してるけど、本当の事だから。ありがとう」



本格的に照れ臭くなって思わず顔を俯かせる。そうすると頭の上に重みが乗り、前髪の隙間からその人物を見るとそこには雅治の笑顔があった。



「お疲れさん。全員が頑張ってこれたのもお前さんのおかげじゃよ」

「ほんとほんと!先輩いなかったら俺今頃バテて死んでますもん。ありがとうございました」

「いや、お礼を言うのはむしろ私のほうなのに」

「そんな事ありませんよ。私達の方こそ貴方に感謝すべきです。1週間ありがとうございました。」



私の言葉を遮って、微笑みながらそう言ってくれた柳生君。彼は本当に、どんな場面でも紳士だった。雅治だって詐欺師とか言われてる割に私がピンチの時は駆け付けてくれたし、赤也君は懐いてくれてからというものの会話が弾んだ弾んだ。



「料理最高だったぜ!っつーか泉が最高だった、サンキュー」

「この合宿、例年とは違いとても楽しみながら参加出来た。お前のおかげでな」

「うむ。選手達の容態を細かい所まで気遣ってくれたな。ご苦労だった」



私はいつかブン太の料理も食べてみたいなぁ、きっと美味しいに違いないだろうし。そう言えば彼からは当たり前だっつーの!と自信満々な答えが返って来た。柳君は最初は不思議な存在だったけれど、綺麗な容姿に反して中身は凄く男前だと思った。ていうか真田君に褒められるとか凄く嬉しい!それだけ役に立てた、って少しは自惚れてもいいのだろうか。



「この合宿中は俺の苦労も少しは緩和されてた気がするぜ」

「君がいるっていう面では氷帝が羨ましい限りだよ。また会う日まで元気でいてね」

「皆も、体には気をつけて元気でいてね。本当にありがとうございました」



ジャッカル君の人柄の良さには何度惚れ惚れとした事か。精市はまだまだ未知な部分が沢山あるから、これからもっと話したい。

部屋を出る時にどうも名残惜しくて、飛び付いてきた赤也君の体を離したくないなんて思っちゃった私は、少し感傷的になりすぎていたのかもしれない。

立海の皆、ありがとう。
 6/8 

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