一方、女子陣はというと。 「これが良いと思います!絶対似合ってますよ!」 「で、でも遊ぶ訳だしこんな露出高いの…」 「でもでもっ!泉さんスタイル良いし似合ってますよ!」 「うーん、ありがとう?」 男性陣が気になっている泉の水着は、どうやら本人より朋香と桜乃の意見が重視されているようだ。そしてその水着とは。 「あ、じゃあこれ下に履けば動きやすくなるじゃないですか!」 「海に入る前はパーカーを着たら良いと思います!」 「あぁ、確かに可愛い!」 そう、白のビキニだ。しかし流石にそれでは騒げないと2人も考慮したのか、下にはデニムの水着用ショートパンツ、そしてパーカーは淡いピンクの物を推奨した。その組み合わせは泉に似合っている上にとても可愛らしいもので、本人も気に入った様子だ。 「じゃあ、これにしようかな。せっかく2人が進めてくれたんだし」 「ハイッ!」 「あっ、朋ちゃん私達も決めないと…」 「なら2人のは私が選んじゃおーっと」 2人もセンスの良い泉が選択してくれる事に異論はなく、素直に決めるのを待っていた。 そうして数分後、泉は朋香には濃いオレンジ、桜乃には淡いピンクのビキニを選んだ。色違いのそれらは下はフリル付きのスカートとなっており、更には所々にラメが用いられている。その水着を2人は凄く気に入ったようで、泉にお礼を言った後、キャッキャと騒ぎながら着替え始めた。 「じゃあ行きますか!」 着替えが終わるなり3人は上にパーカーを羽織り、いよいよその場から出た。 *** 「白石、アレはやばいとね」 「…せやな。財前生きとるかー?」 「アカン死んどるわ」 「泉超綺麗やでぇー!」 「ありがとう金ちゃん」 各々着替えた男子陣と女子陣が浜辺で合流すると、四天宝寺の会話から読み取れるようにほとんどの者が泉に釘付けになっていた。実際、泉は依然眼鏡をかけているものの髪をアップにしている為その髪型はいつもより数段可愛く、より一層彼女を引き立たせているのだ。 「…まだまだだね」 果たしてそれは自分に向けてなのか、それとも周りに向けてなのか。 「先輩愛してます!!」 「いきなりー?」 覚醒した鳳が暴走し始めた所で周りはようやく我に返り、何とか彼の暴走を止めることができた。 「泉、泳がない?」 「サエ!うんいいよー」 「俺も仲間にいれてもらってえぇかのう」 「…仕方ないね」 小さな火花もチラホラ飛び交う。 「むーっ!俺も遊ぶ!」 「俺も入れろよな!」 「どうせなら皆で遊ぼうよ」 しかしそんなものに彼女は気付くはずもなく、むくれる菊丸と向日に向けたその一言で事は丸く収まってしまった。無自覚というのは時に恐ろしいものである。 「じゃあ行きましょー!」 そして葵の一言で彼らは海に飛び込んだ、のだが。 「えっ!?」 「な、何!?ってうわぁあ!!泉ビックリさせないでー!つめたEー!」 「ご、ごめん」 泉が大声を発したせいで何名かが何の心の準備もしないまま、勢い余って飛び込んでしまった。突如の事にその何名かは彼女に異議を唱える。 事の発端者である泉はそれを軽くかわし、とりあえず1番近くにいて海に入っていない跡部を呼んだ。 「あの…浮き輪…」 「…いいぜ、取りに行くぞ。お前らは此処で待ってろ」 話の内容はそんな頼み事だった。跡部の言葉に周囲からはブーイングが発生したが、当の本人は軽くスルーし泉と共に浮き輪がある場所へ行った。しかし、そんな絶好のチャンスにも関わらず跡部が泉の事を直視出来なかった理由は、簡単に察せるだろう。 |