最近気付いたこと。

ロヴィーナが化粧をするようになった。

よくCMで見るようなこぎれいな入れ物に入った化粧品を手に、雑誌とにらめっこして顔に慎重に化粧を施す姿をたびたび見た。
元々綺麗な顔しとったし、「そんなんする必要ないんとちゃうか」と言ったら機嫌を損なわれてしまった。
…よう分からん。


ロヴィーナがスカートを履くようになった。

前は服装になんか特別気をつけたりしなかったのに(かといって決してセンスは悪くなかったのだが)、最近はちょっとレースやリボンの細かい装飾のついた服を選んだりして。ついでにアクセサリーなんかも身につけたり。

小さいころから彼女のことは一番近くで見てきたから、最近の変化は特に目まぐるしく感じる。例えるなら、蕾が、急に開花したかのように。
なんだか寂しいもどかしさと、先を越されたような劣等感とが一気に折交ざって、アントーニョは混乱した。




今日は、ロヴィーナと出かける約束をしていた。珍しく約束の時間ぴったりに彼女の家に迎えに行ったが、彼女はまだ準備が出来ていないという。
自分はおおざっぱなところがあって、待ち合わせにはいつも遅れて彼女に怒られているので、今回は自分なりに努力して時間に間に合ったというのに。今日はどうやら立場が逆らしい。
彼女の部屋の前で待たされて10分。

「ロヴィーナー、入ってもええ?」
「まだ!あと少し!」
「そう言われてもう10分経っとるで」

少し嫌みっぽく言うと、部屋の中からああもう分かったよ!という声と、かちゃんという荒く物を扱う音が聞こえてきた。多分これは化粧品の音。
そしてようやくロヴィーナが部屋から出てきた。

「やっと出てきたぁ」

へらりと笑ったのも束の間、アントーニョはロヴィーナの服装に目を見開いた。

「って、ロヴィーナ!なんなんその服!」
「何ってスカートだけど」
「いやそれは分かっとるっちゅーねん!スカート!短すぎちゃう!?」
「これくらい普通よ」

腕を組みそういうロヴィーナのはくスカートは、裾にレースのついたチェック柄。
スカートはかない俺が言うのもなんやけど丈が短すぎる!けどロヴィーナは普通て…ロヴィーナの普通ってどんだけ短いねん!?

「そんなんちょっと歩いたらすぐパンツ見えてまうで!」
「別にちょっと位大丈夫だし、私は好きでこういう格好してんの。いいでしょ、別に」

ロヴィーナが服装に文句を言われて不機嫌そうな顔になるにつれ、アントーニョはどんどん引きつった必死な顔になっていく。

「あかん!危なすぎるわ」
「はぁ?何がよ」
「何がって…ロヴィーナは女の子やからや!」


そう口に出して、はたりと気付く。

ああ。そっか。
初めて、そこで分かった。
最近の彼女の変化に妙にもやもやしたのも、はらはらしたのもどきどきしたのも。

そう、キミは女の子、
可愛い可愛い女の子だからなのかも。




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更新、本当に長らくお待たせしました…!
女の子の成長の変化って考えるだけで楽しいです^///^←
逆に鈍感な親分に気付かせるために頑張るロマも可愛いかもしれませんね!
気に入って頂けたら嬉しいです。
コツメカワウソ様、リクエストありがとうございました!!




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