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柄にもなく張り切ってしまった。
しかも違う方向に。
クリスマスなのにこんな料理を作ってしまって、呆れられたらどうしよう。
今日は練習後にインタビューが入ってるから、帰りが遅い、と連絡があった。
だいたい帰るのは9時頃だろうか。
それを目安にゆっくりまったり作っていたら、途中で今日がクリスマスという事に気がついた。
これは少し、いやかなりやってしまった。
想像していたクリスマスというものは、普段より多少豪勢で、シャンパンでも飲みながらこれからの事を話したり、愛を囁いたり。
まあそれなりに、お洒落な雰囲気でいちゃいちゃして、いちゃいちゃして、いちゃいちゃして。
そればっかりかよ俺、と呆れる思考に一人ツッコミしてソファーを殴ると、玄関のドアが開く音がした。
ただいま、と渋い声で言いながら、スリッパを引っ掛けてリビングに向かってくる。
ああ、どうしよう。

「お、かえりなさい。…あ、あの、宏さん、すいません、俺…クリスマス忘れてて…その…ごめんなさい、こんなので」
「ん、何が?」
「料理…、ケーキも買ってなくて…」
「お、今日はすき焼きか!こいつはうまそうだな」
「えっ?」
「今日の練習キツかったし、インタビューも長引いてな。疲れてたからこういう和食のご馳走でよかったよ」
「あ…ほんとに…?」
「ああ。ありがとう、勇」

クリスマスにしては変わった飯だけどな、ってからかわれたけど、喜んでは貰えたみたいだ。
シャンパンもないから代わりに熱燗を出してあげたら、また笑って喜んでくれて。
二人ですき焼きをつつきながら過ごすクリスマスは、とても幸せだと思った。


ドリスギでメリクリ

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