ローVD | ナノ


私の恋人は医者である。
突然用が入って、ドタキャンされることも少なくない。
そして今日もドタキャンされた。

しかし私は今日会いたい。どうしても会いたい。

頑張って手作りしたチョコレートを渡すため!





去年までバレンタインで手作りなんてしたことなかっのに、今年はローのためと、張り切ってチョコを作ってしまった。
ラッピングにも気合いを入れた。可愛く巻かれた青いリボンが揺れている。

そして、このチョコを無駄になんてしたくない私は決心したんです!





「204番でお待ちの方、どうぞー」

私の番号が呼ばれ、どきっとする。
人の良さそうな笑顔を向けられ、返事をした。


(うわあ可愛い看護師さん…!)


只今、ローが勤める病院に来ています(こんなにおめかしして病院に来る人なんて珍しいんだろうな)。
あいつの勤務時間なんて把握してるわけで、これから私が診察を受ける医者はローに違いない。


「(ていうか、さっきの看護師さんはなんだ。可愛い上にナイスバディですか。神様は不平等だな!)」


あんな人達と一緒にローは仕事してるのか。
どうしようローは格好いいから言い寄られることだってあるよね…!


もんもんと考えながら診察室に入る。
予想通り、そこには自分の恋人がいた。
普段見ることのない白衣姿に、少しどきどき。
(写真撮っちゃだめかな)


「今日はどうしました」


椅子に座るとそう言われた(丁寧語使われた)。
事前に書類を見ていたらしく、私が来たからと驚いた様子はない。
ちらりと見た机にはラッピングされた箱がいくつかあった。
え、なに。
ていうか、あれは間違なくチョコレートだと思う。
やだ、やだやだ、
受け取ったの?ロー。



「…胸が苦しいんです(ローのせいで)。」


嘘では無い。
今日の約束が潰れて、職場にかわいこちゃんがいるって知って、私以外のチョコレートを受け取ってるローを見たらそりゃあ切なくもなる。私の心はズタズタだ。


「じゃー音聞くぞ」


そう言って首にかけてある聴診器を付けるロー。


「…心音速ェな」
「…でしょうね」


どきどきどきどき。
自分の鼓動が聞こえる。
さっきのチョコレートを見てしまって悲しいけど、私だって今からチョコを渡すんだ、緊張しないわけがない。


「じゃあしばらく様子見ってことで」


診察はすぐに終わった。

薬は出さねェぞ。と言われる。
よし、今だ。


「ロー、バレンタイン」


カバンからチョコを出して渡す。


「チョコレート、です。しかも喜べ、手作りだよ」


どうぞ、と渡すと素直に受け取った。


「お前、これ渡すのに診察料払ってまで来るとかバカか」
「バカでいいです。私は満足。でも」


渡せたには渡せた。
さて、次は



「ところでロー。そっちにある包みの中はチョコレート?」

「ああ、ナースからもらった」


ずきり。


「…それどうするの?」

「気になるか?」


ニタニタと意地の悪い笑みを浮かべるロー。
そりゃ気になります、彼女としては。
自分以外から、なんて、


「受け取るのは百歩譲って許しても、食べるのは…、嫌」
「…」

「だって、ローは私の恋人でしょう?」

「…食わねェよ」


お前の以外全部捨てる、と言うとローが何か投げた。慌ててキャッチすると、


「…鍵?」

「おれの家のだ。」


今日はお前の手料理でも食いたい気分だ。なんて言うロー。
張り切らないわけがない。




(デザートはお前で)
(…うん)
(!)






---
まとまりがない!

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -