隊長は私の斜め向かいでご飯を食べている。
ぱくぱく。むしゃむしゃ。もぐもぐ。ごくん。
目の前の皿を空にして、すぐ次の料理に手を伸ばす。
咀嚼音がやむことはない。
ぱくぱく。むしゃむしゃ。もぐもぐ。ごくん。
美味しそうに食べてはいるが、そのスピードでは果たして味わうことが出来ているのか。
ぱくぱく。むしゃむしゃ。もぐもぐ。ごくん。
飲み物を手にして、中身を煽る。
一息ついて、またフォークを片手に、
ぱくぱく。むしゃむしゃ。もぐもぐ、
あ、寝た。
皿に顔を突っ込んでるが、フォークを手放すことはない。
隊長は食事中に寝る。
たまにではなく、しょっちゅう。
しばらくしてむくりと起き上がり、また食事を再開。
ぱくぱく。むしゃむしゃ。もぐもぐ。ごくん。
徐に隊長がこっちを向いた。
「それ食わねェのか?」
私の手はいつの間にか止まっていたらしい。
どうぞ、と皿を渡す。
ぱくぱく。むしゃむしゃ。もぐもぐ。ごくん。
フォークで刺して、口に運んで、噛みついて、砕いて、飲み込む。
渡した料理はぺろりと平らげられた。
キレイになった皿を見て、なんだか妙な気持ちになった。
なんていうか、なんていうか、
「私、隊長に食べられたいかもしれない。」
「お前ェなら柔らかくてうまそうだな!」
隊長は私に向かって、べろりとしたなめずりをした。
私を食べて!
---
食べられたい。