メイン | ナノ



※ダイエットの続編です















私にはキャスケットしか見えてない。
恋は盲目とかそんな意味じゃなく、言葉通りに。
視界がキャスケットくんで埋まっているわけです現在。
なぜ。





「なにこれ」

「…」

「なんでこんな状態?私は君の敷き布団じゃないよ」

「…ちょっとは空気読めよ」




まああれです。
私の上にキャスケットがいるわけです。
仰向けの私の上にうつ伏せのキャスケットがいるわけです。
ぶっちゃけ押し倒されてるわけです。
キャスケットとは恋人同士なわけだし、嫌悪感があるわけじゃない。

いやでもどうしてこうなった?





「え、そんな色っぽい流れだった覚えないけど!」

「知らない」

「自己中心的な発言だねこのやろう」

「だっておれお前のこと好きだもん」

「はっ?」

「いつでも触りたいって、思ってる、し」

「!」





なにいまのきゅんってした!

(不意討ちだ!卑怯だ!)

そんなちょっと拗ねた顔して言うなんてかわいい…って違う違う、違う!

流されちゃだめだ私!





「いやいやどいてよキャスケット」

「無理」

「どけコラ」

「…やだ」

「…」






あれ、なんだか雰囲気が変わったねキャスケットくん…
っておいおいおいちょっと待てすごく待て。
私の両手を片手でまとめるキャス。
自由を奪われた?


あれ?本格的にやばい?





「やだキャスケット…っ」

「お前わかってねぇな」

「?」

「抵抗されると男は燃えちゃうんです」




ふにゃり。
そんな効果音が聞こえた気がした。




「っな、に!」




最悪だ、むむむむむね、触られた(服の上からね)!
なにこの展開!なに!



「っや、キャス…!」

「かわいー声」






するりと脚の間にキャスの右足が入ってくる。
なにこれ意味がわからない。

私は最近太り気味って悩んでて、ちょっとキャスに相談しに来ただけで、
さすがにこのタイミングは無いだろ!




「やめろ離れろ触るなばか!」

「あんま暴れんなって、」





喚きながら、じたばたもがく。
すると私の左足が、あの、
…キャス、の、足の間(…)に変な感じに当たったよう、です。




「…っぅ、あ」





ぎゃあああああ私ばか!しね!
意図的にやったわけではないけど!

(なんだキャスいまの声の色気…!)

変な汗をかきながら様子を伺っていると、




「……意外と積極的?」




にやりと笑いながら呟くキャスケットは色っぽ…じゃない違う!





「今のはっ、違う、わざとじゃない…っ」

「うるさい…」




キャスの顔が近づいてくる。
あれか、口で口塞ぐっていうベタな考えですか。

でも、




(あ、やばい流される、)





近づいてくるキャスをなぜだか素直に受け入れてしまいそうになる。
だって私も、キャスケットが好きなわけで。


心の中でため息をつきながら、目を閉じた、その時、






ぷにっ。

今度はそんな効果音が聞こえた気がした。





キャスケットが私の服に手を突っ込もうとしたらしい。
で、お腹を触られたらしい。






あれ?私がキャスの部屋に来たのなんでだっけ。
悩み相談しに来たんじゃないっけ。
さっきまで抵抗してた理由は、






「ぎゃああああああ触るなああああああああ!!!」




思い出して、全力で暴れた。
肥えた身体なんて見られたくない。
ましてや触られるとか論外すぎる!
腕は掴まれて動けなかったけど、足は動いたわけで。

結果、キャスの股間を全力で蹴りあげることになった。





「!!!」






声にならない悲鳴が聞こえたが、そんなこと知るか!
緩んだ手を振りほどいてドアまで走った。
一回逃げて、また戻って殴っておいた(ちなみにグー)。






「ふざけんなキャス!変態!色魔!節操無し!」




一通り悪態をつく。
それからドアを乱暴に開けて、自分の部屋まで全力で走った。




(キャスケットのばか!)

(流されそうになった私もばか!)






その後、今回の出来事をペンギンに愚痴った。
次の日になぜかキャスケットは一日中ペンギンに敬語でした。


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -