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皆さんこんばんは!私は今ペンギン君のお部屋にいます。詳しく言えばこっそり忍びこんでます。きゃ、私ったら大胆!今日は長年積もったこの想いを伝えようとこの場に来たわけです。乙女の一世一代の告白なわけです!ここまでくるのにどれだけの時間がかかったか…。恋のお相手であるペンギンはどうも恋愛には鈍感なようで、私の気持ちには全っ然気付いてくれません。結構分かりやすくアプローチしてるんですけどね!常に送っている熱い視線に気づいてくれないんだよ全く!先週とか、宴でお酒の力を借りてほっぺちゅーまでしたのに頭をはたかれて終わりました。「やめろ、ばか」って一蹴されました。切ない。私あの時は全力で勇気を出したのに…!ちょっとくらい照れたっていいじゃないか!


まあそんなこんなで私、ついに告白します!今ペンギンはお風呂に行ってて部屋にひとりな私。かれこれ40分は待ってるんだけどなあ…。まだかな、ペンギン。ここまで来ると暇だ!最初の10分は緊張で心臓が破裂するんじゃないか、と思っていた。でも今はなんかもう早く告白してしまいたい。さっさと終わらせたい。眠いし。


「ぺんぎーん…」


あー暇!部屋をぐるっと見回す。きっちりと整頓されていて実にペンギンらしい。キャスケットとは大違いだ。ふとベッドが目に入り、ちょっとした出来心というか、興味が沸く。ベッドの下なんて、健全な年頃の男性の秘密ゾーンである。


「…ごめんねペンギンっ」


いちおう謝る。どきどきしながらベッドに近づき、その下を覗こうとした、時。







がちゃ






ペンギン戻ってきちゃったよ!でもセーフ!足音が聞こえたから思わず布団の中に隠れてしまった。秘密ゾーンの解明は叶わなかったけど、留守中に勝手に部屋に入りベッドの下覗こうとしてたなんてバレたら確実に嫌われる!ん、でも今の状況もどうなんだろう。留守中に勝手に部屋に入りベッドに潜りこんでいる女。…あれ、私ったら痴女確定?


やばい、と思いながら、布団の隙間から様子を伺う。(しかし、この中良い匂いする…。ペンギンに包まれてるみたいで安心する、でもちょっと恥ずかしい!)ペンギンは棚から酒瓶を取り出す。お酒を飲むペンギンも様になるなあ…。しかしどうやって出ていこう。このままでいるわけにもいかないし。…よし、「ばあ!」って言いながら飛び出そう。びっくりさせて逃げよう!今日のことは明日また弁解するとして告白はまた今度の機会に!と、思っていたらペンギンがベッドに近づいてきました!(え、やばい!)


どさっ。


うわああぁペンギン、が、ペンギンがっ私の上に…!(変な意味じゃないよ! )寝ようとしたようで、布団の上から倒れこんできた!だけどその下には私がいるわけで。妙な感触がしますよね、はい。その体勢だったのは一瞬で、ペンギンはすぐさま布団を捲った。




「…」
「…」
「…は、はろー」



馬鹿か私。馬鹿か私!なんだよはろーって!今は夜ですけどォ…!さっきまでのシミュレーションは無意味に終わった。そして固まっているペンギン。ふと自分の姿を見ると、とっさに潜りこんだせいかスカートが捲れてあられもない状態である。(いやん嫁入り前なのに…!)素早くその場に正座し、膝の前に手をついて頭を下ろす。早い話が土下座する。こんな場合はとりあえず謝るに限るんです。


「すみませんでしたっ!」


ペンギンはまだ固まっていたが、私の声を聞いて口を開く。


「お前な…。…言いたいことはいくつかある」
「はい、なんなりと!」
「まず、どういう経緯か知らないが人の部屋に勝手に入るな」
「その通りですごめんなさい!」
「それから靴履いたままベッドを使うな。汚れる」
「全くです気を付けます!」


ペンギンはこうなるとお母さんみたいだ。その後もいくつか注意を受けた。


「…それと自分が女だって自覚あるのか、お前は。」
「ありますそれは!だからさっき恥らいましたし!」
「ならもっと行動に気をつけろ。はしたない」
「今後努力します!」


完全に母親モードだ。そして私は本当の子どものようだ。しかし久しぶりにまともに怒られた…!やばいちょっと、泣けてきた。情けない。


「じゃあ最後に」


そこでペンギンは一息ついた。やっと終わるのか。今日はしっかり反省して寝ます。


「昔からいう言葉なんだが」
「はい!」
「据え膳食わぬは男の恥という」
「はい?」
「おれは恥をかくわけにいかないな」
「…、!」



いただきます







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勢いだけで書いた
最初キャスケットだったとかそんなばかな




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