急に尻を撫でられた。意味わからん。本当にわからん。ここで問題なのは私がズボンだということだ。いやスカートだったとしても問題だけど。さて、なぜズボンで問題かというと、私は尻を撫でられた。ぱんつの上から。ぱんつの上だ、ズボンではなく。スカートならば裾を捲り上げて撫でられる。それでも十分陰湿なのに、ズボンだ。つまりズボンの履き口から手を突っ込んで尻を撫でられた。意味わからん。大胆とかってレベルじゃない。ていうか今、揉まれたぞ、しね船長。
「なにしやがるんですか船長全力できもい」
「尻を撫でた。ついでに揉んだ」
「どんな行動をしたか聞いてるんじゃねぇよ」
「お前痩せたか?」
「今のセリフと行動は立派にセクハラです犯罪です」
「ズボンぶかぶかだな。あとおれは黒が好みだ」
「触るのみならず覗きやがった最低だこの人!」
なんでうちの船長はこんなんなんだ!そしてなぜ私はこんなセクハラ野郎に付いていこうと思ったんだ!…いや勧誘された時はすごくかっこよかった。細々と賞金稼ぎをしていた私の前に現れ、狙ってた獲物を勝手に横取りし、腹を立てた私をあっさり倒し、「うるせェ、おれと来い。」なんて言われたら。どんなに綺麗な宝石を貰うより、どんなに沢山のお金を積まれるより、どんなに情熱的な愛を囁かれるよりも、最高の口説き文句だった。あの時の船長はかっこよかった。でも船に乗ってすぐにわかった。ただの変態だこいつ。
「ズボンに手ェ突っ込むなんて信じらんない!」
「馬鹿か、ズボンの上から触ったって意味ねェだろ」
「そこにどんな意味が!」
「弾力とか、」
「もう口を開くな」
(でもこんな変態ってわかっても、船を降りる気になれない私もどうなの)
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ただ船長が変態な話