彼女は毎晩寝る前にチョコレートを食べる。理由を聞くと、小さな頃からの習慣だという。そんなことを続けていて、今ではチョコレートがなければ眠れないらしい。全くおかしな体質である。それは確実に一種の依存症だ。前に、興味本意でチョコレートを取り上げたことがあった。果たして、彼女は眠ることが出来なかった。一睡もだ。試しにチョコレートと成分が似ているのココアを飲ませたりもしてみたが、それでも効果は無かった。彼女の身体にとってチョコレートとココアでは天と地ほどの差があるらしい。チョコレートを食べることで身体が休む状態になれるのだ。ココアとチョコレートのどこが違うのか。同じカカオから出来ていて、同じ甘い味がするのに。
「チョコレート依存性か。妙な体質してんな」
おれがぽつりと呟くと、こいつは笑って口を開いた。
「ローだって、私がいないと寝れないくせに」
おれは彼女が隣にいないと眠れない。別に抱いてるわけじゃない。ただ隣に転がして、一緒に布団を被るだけ。他の女を抱き枕にしたって睡魔がやってこないのだ。うとうとしても、意識が落ちることはない。それを不便に思ったことはないが、なんだか気に食わない。はっきり言うとおれだけなのか、と思う。
彼女はチョコレートが無いと眠れないし、おれは彼女がいないと眠れない。
さて、彼女がおれに依存してくれるのはいつだろうか。
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わけわからんですね