自室と御対面!
どんな部屋なのかと意気揚々とドアを開けた。
「げほ、っごほがほっ、!?」
「はい!雑用ミッションそのいち!部屋を掃除せよ」
「な、なんですか此処」
ばぁん!と勢いよく開けたドアの風圧でぶわっと舞い上がる埃。なんだか淀んだ空気。積み重なる荷物。窓は存在せず真っ暗で、隅にはお約束のようにクモの巣がかかっていた。
「探したけど、空き部屋なかった」
「で、此処ですか」
「広いし、掃除すれば他の部屋と代わらないし」
がんばっ!といい笑顔で親指を立てるシャチさん。その親指へし折りたい。
「(いや、倉庫でも一人部屋は有難いし!めげるな私!)」
「掃除用具とかはそこら辺にあるはずだから」
「が、んばります!がんばりますよ私は!」
よーしやってやるよ!お掃除ミッション開始します!
立て掛けてあったモップをひっ付かんで、心の中でそう叫んだ。
手始めに積み重なる荷物を下ろしていく。動かすたびに舞い上がる埃がにくい。ひたすらにくい。
中身を確認するけど、何に使うのかわからないガラクタばかりだ。私に見る目が無いだけかもしれないけど。
「わ、銃だ。古い感じ…。…あーこの缶詰め絶対腐ってると思う」
よくわかんないものは放置、確実にゴミと判断できるものは処分、と分別していく。
ある程度作業を進めて部屋を見渡す。さっきまではよく見えなかったけど、なかなか広い。うん、しっかり掃除したら良い部屋になるんじゃないかな。
「×××ー?」
「はいはい?」
さあまた頑張るか、とバケツを持ち上げたところで廊下から名前を呼ばれた。ドアから顔を出す。
「あ、×××いた!」
「ベポくん!」
「わあ、その服貰ったんだね!」
「貰ったっていうか、借りた?でも一緒だね!」
「うん!お揃いー」
へへっと笑うベポくんにつられて笑う。色違いだね!
「掃除中?」
「うん、そうなの。部屋貰えたから改装しちゃうよー」
「大変そう…そうだ、おれ手伝う!」
ふんっと鼻を鳴らして腕捲りをするシロクマさん。やる気満々ですね!すごくありがたい、けど。
「や、迷惑になるし…」
「全然大丈夫だよ!」
「お仕事とかあるんじゃ、」
「ないよ。×××と昼寝したいなって探してた」
お昼寝だと…!なんて素敵なお誘い。掃除ほっぽりだしてベポくんと昼寝コース、と釣られそうになって思い直す。だめだ寝床なくなる。
それに、手伝ってもらえたら間違いなく作業がはかどる。運ぶのが大変な重い荷物とかあるし…。
「うん、…じゃあ協力お願いします!疲れたらやめていいからね」
「アイアイ!でもおれ体力あるし平気だよ!」
「ふふっそうだねぇ」
しゅっしゅっと拳を突き出すベポくんかわいい。なんて良い子なの。その上かわいい。かわいい。
一緒に模様替えか。ベポくんがうちに来た時みたいだ。
さて、お掃除お掃除っ!
「あ、ところでベポくん。私の服干したいんだけど、良い場所ないかな?」
「みんないつも外に干すよ!」
「や、あの、人目に付かない場所があれば嬉しいなあ」