あーいきゃーんふらーい | ナノ



「×××ー!」



ベポくんがたたっと駆け足で近づいてくる。
なんだか感動の再会っぽい……えっちょっ、勢いが、……ぐげふっ!(あれ、デジャヴ)



「×××っ!」


「元気みたいで嬉しいよ…だからごめん退いて潰れる私」


「あ、ごめんね」


「(相変わらずだなあ)」



とても熱烈なタックルを受けました。口から内臓出るかと思った…。




「おいベポ、知り合いか」


「うん、この前×××の家にしばらくお世話になってたんだ」


「あー、ベポ失踪事件の時の…」




皆さんなにやら話はじめたようで、蚊帳の外になってしまった。ていうか失踪事件って聞こえたぞ。そんな大変なことになっていたとは…!

…そろそろ寒いな、私そういえば薄着でずぶ濡れでバスタオル羽織ってるのみだった。風邪ひくかも。



「…へぐしゅっ」


「おい、女」


「へ、あ、はい」



ずびっと鼻をすすっていると船長さんに話しかけられた。なんとも高圧的な雰囲気である。



「うちのクルーが世話になった」


「え、いえいえそんな」


「だからしばらくこの船でゆっくりするといい、とは言わない」


「ではお言葉に甘えて…ん?」



ぽかんとすると、船長さんはニタリと笑う。なんて悪どい顔。



「船に乗る以上、働け。客としてもてなす余裕はない。衣食住を保障してやるんだ、雑用くらいこなすんだな」


「そっ、そんな言い方しなくてもっ」


「あァ?」


「精一杯お仕事させて頂きます」



ぐーたらしようとは思わないし、自分に出来るお手伝いなら進んでしようとは考えていた。それでもなんて意地の悪い言い方なのか!


「(と、思っても口にはしませんだって長いものには巻かれる主義だから!)」


「また一緒だね、×××!」


「うん、よろしくね」



荒んだ心もベポくんで癒されるよ、ありがとうベポくん。もふもふ。
すくっと立ち上がる。健全な人間関係は、まず挨拶からなのです。



「しばらくお世話になります、×××です。雑用頑張りますのでよろしくお願いします!」




頭を下げたと同時に鼻がむずむずしだした。



「へぐしゅっ」


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