ないわこれはないわ
白昼夢なんて言葉があるけど、今まさにそれを体験しているんだろうか。
覚めない夢ですか、うふふファンタジー!
そんな現実逃避をしても何も変わらないんだけどね。切ない。
こんにちは皆さん、私は現在海のど真ん中にいます。そのままの意味で、水の中をゆらゆら漂ってるわけですが。
「(波がなくてよかったなあ…)」
青い空白い雲青い海。そんで白い砂浜なんてあったら最高なんだけど。私の生命的に。
ぐるっと見渡しても、海岸はおろか島らしきものは見当たらない。船もない。唯一見つけた木材に掴まってなんとか生きてるという状況。うーん、どう見ても遭難者。
ちなみに服は最低限残して脱ぎ捨ててしまった。テレビやらなんやらで見た知識である。濡れたジーンズがあんなに重いとは…
新品じゃなくて着古した普段着で良かった!
「?」
上空を飛んでる鳥を眺めていたら、すこし離れたところから音がした。
ぷく、ぷくぷく、ごぼり。
「水中から、泡…」
なんだあれ。不思議に思ったけど、次の瞬間に顔面蒼白になるのがわかった。
え、あれってあれじゃないかな、さ、ささサメ、とか?
次々と浮かんでくる泡。だんだん量が増えていく。ごぼごぼごぼ、
泳いで逃げれるとは思えない。
お願い、せめて人食い鮫以外であってくれ。もしくはカメとか!
少しずつ距離を取りながら海面を見つめていると、だんだんなにかのシルエットが浮かんできた。
サメか、カメか、はっ、イルカという可能性も…!と考えていたが。
ん、なんか生き物にしてはでかすぎないかー………?
まさかクジラ?丸飲み?!
「ぎゃあっ!、……?」
ざばあっと浮かんできた何かは、なにかよくわからない黄色い塊でした。