がうんがうんと唸る洗濯機。
昨日とはうって変わって今日はいい天気ということで、たまっていた洗濯物を片付けることにします!
ちなみにベポくんは日向ぼっこでお昼寝真っ最中。
さてこれが終わったら次はシーツやバスタオル、それにベポくんの作業着を洗おう。
ベポくんにそのことを伝えて作業着を貸してもらおうとしたら、裸は恥ずかしいと照れていた。まじか、そこに羞恥心は存在したのか。
私はぜんぜん気にならないけど、本人の意見を尊重しようと思う。新しいシーツを渡して今日1日はこれ巻いて過ごしてねーとお願いしておいた。
「(しかしそうなると、動物図鑑とかの写真はベポくんにとってふるぬーどになり得るのでは)」
と、阿呆らしい考えが浮かんだけど、あまりにアレなので頭の隅に追いやった。
ぴぴぴ、と洗濯終了のお知らせ。中身をカゴに移して、次の洗濯物を放り込む。スイッチスタート!
さて、干す作業に入ります。
ずしりと重いカゴを手に寝室のベランダに向かう。するとお日さまが当たるフローリングにはベポくんがいた。さっきまでリビングで寝てたのになあ。
「やっほうベポくん、そこは快適?」
「んー、あっちよりここの方があったかいよ」
やっぱりこっちのが日当たり良いもんね。
余談だが先述の通りベポくんはシーツ一枚巻状態である。ごろんと寝返りをうつと裾が捲れた。いやんセクシー。なんつって。
でも珍しい光景なので写真を撮っておこう。早く撮り終わらせて現像出したいなーと考えながらシャッターを切った。セクシー。
「さて、ちょっとごめんね。上通るよー」
窓の前はベポくんに占領されてしまったので、足の上をひょいっと飛び越える。
「邪魔だった?ごめんね×××」
「いいよー全然ゴロゴロしてて」
気を使ってくれたけど眠たいようだ。目が半分閉じている。ていうかさっき鼻提灯できてたぜベポくん!
「おれ、なんかすっごく眠いんだよね」
「昨日は夜更かししなかったのにね」
「んー、今朝もすっごく寝坊した」
「もしや成長期?」
そんな会話をしながらベランダに出ようと窓に手をかける。あれ?なんか固い。開かないぞ。
がた、がたん。力を込めるとやっとスライドしてくれた。今まではずっと調子良かったのにな。どっか錆びた?
「おれ成長期は多分終わってるよー」
「あはは、だよね」
ハンガーに服をかけていく。
そういえば、最初に会った時ベポくんベランダに出しちゃったんだよね。コンクリートの上って寒いし固いし、寝心地最悪だったんじゃ。
「ベポくん、ベランダなんかにほっぽりだしてごめんよ…」
「おれあの時もぐっすり寝てたから大丈夫だよ、気にしないで!」
ベポくん、やっぱり成長期なのでは。
***
「うーん、新しい柔軟剤いい匂い!」
洗濯物は日光のおかげであっという間に乾いた。タオルやばい、ふかふか。この前からCMで気になっていた柔軟剤は正解だった!「まるで子猫の毛並みのよう 驚愕の柔らかさ!−太陽の香り−」という新発売のやつ。奮発して良かった。
ふんふんと鼻唄を歌いながら乾いた服を取り込む。靴下を外そうと洗濯ばさみに手をかけた瞬間、背後でいきなりばんっ!と音が鳴った。
「ひっ!なななっなに!」
すぐさま後ろを向くと、さっき出た時に開けていたはずの窓がきっちりしまっている。今のはこれが閉じた音?あれ、ベポくんが閉めたのか?と思ったが、少し離れたところでぐーすか眠っている。鼻提灯のオプション付き。
…え、じゃあつまり、勝手に閉まった?
「…かっ怪奇現象…!」
お化けや幽霊を信じているわけではないけど、気持ち悪いものは気持ち悪いし怖いものは怖い。人間だもの。
ばばっと素早く洗濯物を取り込み、部屋に入ろうと窓に手をかけた。
「…!?…あ、開かないしいいぃ」
がたがたと揺らすが固くて開かない。なんなの怖い助けてえええぇえ
手に力を込めながら足でごんっと蹴るとやっと窓は開いた。
わけのわからない冷や汗を流しながら部屋に飛び込む。窓はすぐさま閉めた。せっかくまとめた洗濯物は、カゴが勢いで倒ればらばらになってしまった。
「…た、立て付け悪いのかな」
うん、そうなのかもしれない。
後ろでキィと窓が軋んだのも、立て付けが悪いからに違いない。
(…どうしたの×××?)
(べ、ベポくん…)
(なあに?)
(今日は一緒に寝てくださいませんか)