「はいはーい今日はお買い物に行ってきます!」
「ほんと?!おれ楽しみー!」
「ここで残念なお知らせ!ベポくんはお留守番係です!」
「!!」
ベポくんはショックを受けた!82のダメージ!なんちゃってっ
がーん!と、たらいを落とされたような顔で固まるベポくん。一緒に出かけたいのは山々だけど、それはちょっと難しいなあ。
「一緒にお出かけできなくてごめんね」
「なんでダメ?」
「うーん、ここじゃあシロクマさんは珍しいから」
ベポくんを見たら、みんなきっと逃げ出しちゃうかな。と言うと、しょぼんとしながらも納得してくれた。はっ、でももしかしたら着ぐるみとかに見えるんじゃ…!…うん、無理か。ごめんね、お土産買ってくるからね!
玄関で見送ってくれたベポくんにいってきます、お留守番よろしく!と言うと、アイアイ、×××いってらっしゃーい!と返してくれた。いいこだ。
「まずはー服を買おう!」
るんるんしながらいつも寄るショップに入って、新しいパジャマを購入。ベポくんにも何か買いたいけど、服はちょっと無理だな。規格外だもんな。
久々のお出かけは楽しいけど、早く帰らなくちゃいけない。ひとりは暇だよね、やっぱり。
お土産を思案しながらもちょこちょこお買い物。食料品と生活雑貨も買って、それから少し休憩しようとカフェに入った。ここのケーキはすんごく美味しい。いつも自分へのご褒美に買っているのです。そうだな、昨日はベポくんもいっぱい頑張ったし、休憩はやめてこのケーキをお土産にしよう!
「(どうしよっかなあ。チーズスフレ、ガトーショコラ、タルト、ロールケーキ)」
ショーケースに並んだケーキを見て考える。ううん、いつ見ても美味しそう…このこ達は『私を食べて!』と言ってる。間違いない。あっ新作でかぼちゃのモンブランがある。あれ買う。
「ご注文はお決まりですか?」
「あっ、ちょっと待ってください!(シュークリーム、シフォン、いちごムース…)」
***
「ありがとうございました、またお越しください!」
カラン、とお店のドアに付けられた鐘を鳴らして外に出た。私の右手には大きな箱。
…うふふ、わたくしやっちゃいましたよ。色々と迷って、ベポくんならいっぱい食べるだろうし、一個や二個じゃ足りないだろうことを考慮して
「全部、一個ずつ、ください」
そうです大人買いです!ひゃっほう!ケーキを大人買いとはなんてリッチ!(ちなみに大人買いデビューはうまい棒でした!)今回はお財布に余裕があってよかった。
さて必要なものも買い終わったし、もう帰るか。あ、でもケーキには紅茶かな!寄り道して茶葉も買ってっちゃおう!
ステップを踏みながらお店に向かっていると、虎と目が合った。
「…なんという眼力」
目当ての店のその隣。トイショップの棚に飾ってあったそれは、しっかり私を見ている。気がする。デフォルメされた二頭身にも関わらず、大きな目がなんとなく怖い。さすが捕食者…!
「虎か…」
ベポくんが昨日言ってた船長さんは虎らしい。ふむ、ならば他の乗組員も動物なのかも知れない。ゾウとかいるのかな…ウサギとか!
そんなことを考えながら、私はいい匂いにつられ歩きだすのだった。
「ただいまっ」
がちゃりとドアを開けるとドタドタと振動がした。そして白い塊がタックルを仕掛けてきました。しまった。両手いっぱいの荷物でガードできない。
「おかえり×××!」
「ごふっ」
加減はしてくれたようだが、なにせ質量がちがう。人間と白熊の差を侮ってはいけない…!
「あ、ごめんね」
「うぐっ、いや、いいタックルだったよ…!」
ぐっと親指を立てると、おれ強いからね!とベポくんはポーズを決めた。おお、様になってる。
「荷物運ぶの手伝ってくれるかな」
「アイアイっ」
「ケーキ買ってきたから、今日のデザートは豪華だよ!」
「やった!」
沢山買ったから残りは明日のおやつにでも、と考えていたけどベポくんの食欲をはかり間違えていた。箱の中身はすっかりきれいになりました。
あっ、トイレットペーパー買い忘れた。