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「私の氷はちょっぴりコールド。あなたの悪事を完全ホールド!」

ブルーローズが犯人を捕まえて決め台詞を言う。私は少し離れた所から彼女の様子を見る。もう少し早くついてたら私が犯人を捕まえられたかも。うーん惜しい。
そう思ってたらブルーローズが私に近寄って来た。

「ごめんなさい。あなたが狙ってた犯人、私がとっちゃって」

ブルーローズが勝ち誇った顔で言う。

「別に。今回はあなたの運と行動力が私よりも上回ってた。ただそれだけのことよ。それに私は私のしたいように動く。あなたが持ってるその対抗心、私には意味ないわ」

私が延々と言うとブルーローズはムッとした表情になり、ふんと鼻を鳴らして歩きだす。私も彼女とは反対方向に歩きだす。

「おーっとサクライラとブルーローズ今回も険悪な雰囲気に!一体彼女達は何時和解するのでしょうか?」

その光景をカメラが映しナレーターが言う。


今のやり取りを見たら分かるだろうけど私達、サクライラとブルーローズ仲が悪いがお互いライバル意識を持ってる。
…という設定がある。この設定は私の会社とブルーローズの会社がお互いに決めたことだ。何故こんな設定をつけたのか社長に尋ねたら「その方が市民は見てて楽しいんだ。」とか何とか。わけがわからないよ。因みにオフのときの私達の仲はというと…



「ごめんねカリーナちゃん!あんなつんけんした酷い言い方しゃって!!」

場所は変わって喫茶店。私は目の前でケーキを食べている(因みに私はチョコパフェを食べている)ブルーローズことカリーナちゃんに力の限り謝る。一方カリーナちゃんは少しうっとうしいそうな顔をして

「別に良いわよ。沙耶だけが悪い訳じゃない。私の方が先に言ってきたんだし。そもそも仲が悪いってことなんだからしょうがないじゃない」

と言って許してくれた。やっぱりカリーナちゃんは優しくて良い子だ…!

オフのときの私達は結構な仲良しさんなのだ。ヒーロー活動が終わったあと今みたいに一緒にお茶をしたり買い物をしたに等をちょくちょくしてる。

「やっぱりヒーローってめんどくさい。設定があれだけこれだとか五月蝿いし、好きなことだってあんまりできないし」
「こらカリーナちゃん、人前でヒーローの話はダメだよ」
「はいはい」

好きなことがあまりできない…まあ確かにその通りかも。急に呼び出されて作業を中断するなんて結構あるし。私でこうなんだから学生をしてるカリーナちゃんはもっと大変で、自由な時間は少ないんだろうな。
私には妹がいる。だからか分からないが年下のカリーナちゃんやパオリンちゃんと一緒にいるとお姉さん心に火が着くというか…何とか力になりたいと思う時がある。あれ?これってお節介なのかな?


「それにヒーローって損よね。こんなに頑張ってるのにそれが当たり前だと思ってる」

カリーナちゃんがぽつりと呟く。その言葉に驚いてカリーナちゃんの顔を見ると辛そうな、思い詰めた表情をしてる。表情でカリーナちゃんは今悩んでるんだと感じた。ここで私が色々と何か言ってもこれはカリーナちゃん自身が考えて決めていくことだから恐らく意味がない。むしろダメな気がする。

「まあ確かにそうだね。考えたら褒められたりもしないし。でも私はヒーロー皆が頑張ってることを知ってる。勿論カリーナちゃんも頑張ってることも知ってるよ」

と、私は言う。…何か臭い台詞言った気がする。あー、私の馬鹿!もうちょっとましな言葉を考えられないのか!!
と、一人で自己嫌悪してたらカリーナちゃんに「ありがとう」と言われた。

「そんな、上手く言えなくてごめんね。あっそうだ!私、カリーナちゃんよりも年上なんだからカリーナちゃん私をお姉ちゃんだと思って甘えたり頼ったりして良いからね!」
「気持ちは嬉しいけど沙耶は友達とは思えるけで、お姉ちゃんは無理がある。色々と」
「………」


酷いよカリーナちゃん。そんなにはっきり言わなくても。…そういえば妹に日本にいたとき、私結構冷たく扱われた様な気がする。

ショックを感じながらチョコパフェを口に入れる。チョコパフェは少ししょっぱい味がした。

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title:揺らぎ


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