星の瞬き | ナノ


  鈴の音


中忍試験第三の試験まであと少しとなった。

同じく本選に出場することになったサスケはカカシ先生と共に修行中。

今回ばかりはカカシ先生と修行したほうがいい。オレにも修行が必要だから、そこまでお前に時間を割くことができないと助言をすれば、素直にカカシ先生と修行に出た。


といってもオレはあまり修行してないがな。

現在家の近くの森のひらけた場所。ただ、木々が擦れ合う音と生き物の鳴き声がするだけ。

座禅を組んで心身統一を行う。人が寄り付かない静かな場所であるからここまで集中出来る。


静かに、静かに。ただ座禅を組むだけ。

何も考えない。真っ暗な闇に、清閑な闇に落ちていくだけ。


ふわりと風が吹いた。



――チリリン



ふと目を開ける

今、確かに鈴が鳴った。今までどんなことがあっても鳴らなかった鈴が。



――チリリン



澄んだ音が、透明な音が、神秘な音が響く。

チョーカーに手を伸ばす。鈴に手が触れるたびにその清澄な音が響く。



この鈴が鳴った時、君は力を手に入れる



時は来た。

自分の内に人間のものではない力を感じる。
自分の役目が、使命が自ずと解る。


自分がどんな存在か、するべきことは何か。知りたかったけど、知りたくなかった。知りたくなかったけど、知りたかった。

知ってしまえば、彼女とまた離れてしまう。遠い存在になってしまう。

それでも、今まで虚ろな存在だった自分が、かちりとピースが合うようにこの世界に調和する。


そろそろ動き出さなければいけない。
自分に課せられたミッションを、達成するために。

危うげで朧気であるこの世界を調律するために、働かなければならない。
それこそが私の最初の仕事、初仕事。


立ち上がって長く息を吐く。ふと、足元に咲いた一輪の蒲公英が目に入った。


彼を思わせる蒲公英の花言葉は「神のお告げ」「真心の愛」「別離」「愛の信託」

まるで私と彼を表しているようではないか。
私の存在、彼の姿、私の仕事、私と彼の役目


英国では蒲公英を「ライオンの歯」と見立てたらしい。ならば私はその歯になろうではないか。

大切な人を、その牙で護り通せるように。



魂の音
(でもやっぱり余計なフラグはいらない)


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