家に招待
結局、あの正体不明の額当ての里を独自に調べてはみたが分からずじまいになった。
情報が全く出てこない。
じーさんにどうしてチームを組ませたと問いただしたところ、
「何者かがこの里の周囲にいるのは分かっていたが、手を出せなかった。ちょうど外れに行く任務に警戒していたところだった」と。
どうやら過去何件か同じようなことがあったようだ。全て巻物を狙っている。あれこれ構わず片っ端から奪っているようであった。
オレ達が倒したやつらで警戒は解け、事件も起こらなくなった。
しかしどうも釈然としない。
結局依頼の巻物は何の変哲もないものだった。狙われる要素はなにもない。
そもそもオレもカカシ先生も全く知らない小さな隠れ里が、どうして木ノ葉に恨まれるようなことをする。
盗むものも巻物に限られている。
巻物といえど様々だ。今回のような依頼人の何気ないものであったり、術が書いてあるもの、里の機密を書いてあるもの。
片っ端から手を付けて、目標が全く定まっていない。あるいは全てが目標なのか?
あー!もう考えても分からない!
止めだ、止め!こういうのは里のお偉いさんが考えるもんだ
というわけで場所は任務の受付場所。新しい任務をもらいに来たところだ。
この前のCランクの任務の文句を言えばDランクばかり回ってくるようだ。じーさんも脅せ…げふん 話せばわかるもんだな!
「今日の任務は、と…。ん?何だこれ。森の中に住む子供の詳細を求む」
カカシ先生の手がある一枚の書類で止まる。
森。なにか引っかかるものがあるな。
「先生、詳細」
「はいよ。えー、何々。『森の中に住んでいる子供がいます。その子供の生年月日、スリーサイズ、行動パターンを調べ上げてほしい』だって」
「完全にストーカーじゃねえか!!」
ばっと先生から書類を奪い取り目を通す。中身に目を通すたびに依頼人の気持ち悪さが窺える。
って、これオレのことじゃねえかよ!
「おい受付ェ!何こんな依頼受けてんだよ!プライバシーの侵害、人権の侵害だろ!!」
「落着きなって」
どうどうと馬を宥めるように落ち着かされる。受付は慌てて依頼を取り消したが、不満だ。不服すぎる。
「なにそんな怒ってんのよ(悪目立ちするじゃない、しゃーんなろー!)」
はぁ、と額に手を当てサスケに見えるようにする。
「サスケ、こことここを見ろ」
サスケはオレが指した場所を見る。途端その顔が青くなっていく。サクラとカカシ先生は何かわからず疑問符を頭の上に浮かべている。
「これ……オレのことだよ…」
*****
「ナルセの家に行ってみたいわ」
なんてサクラが言い始めて、ただ今家に向かう途中。
「オレの家なんて見てどうするんだってば?」
「遊びに行くことに意義があるのよ!」
そりゃあいいなんてカカシ先生まで同意してしまい、こんな始末だ。今日の任務はと訊けば、今日の分は終わったなんて言いやがって。
里の外れまで行き、森の中へ入る。
「ほんとにこんなところに家なんてあるのー?」
サクラは文句を言うがずんずん進んでいく。
普段人が通らないところであるから、道がない。だから慣れない人には少し歩きにくいところだ。
誰かが言った。
道とは人が歩いたからこそできるものなのだと
家へ帰る道を通れば、いつもこれを思い出す。オレには訪ねる人なんていないから、道などここにはない。
え?友達がいないやつだなって?
止めろよ、涙が出てきただろ…
「たっだいまー」
玄関を開けて帰ったことを告げる。さあ入ってと後ろを見れば、サクラとカカシ先生が固まっている。
「どうかしたかってば?」
「ほんとに…ここ?」
「大きすぎじゃない?」
首を傾げて家を見る。確かに少し大きめに造ってはあるが…
ダイニング、リビングにちょっと大きめの風呂場。人数分の寝室に、巻物とか書物が置いてある書斎。あと和室とかその他諸々の物置など。
最初一人暮らしにしては大きく設計しすぎたと思うが、それほど驚くものでもないだろう。
「サスケ、家って大きいかな?」
「オレの家ほどじゃないがな」
だそうで。
ささ、お入りください。
リビングに入れば寛いでいる再不斬と白が。
「ただいま。今日はお客さんが来てるから」
ひょっこりオレの後ろからそのお客さんが顔を出す。そして再不斬と白の顔を見て固まる。
「何でここにこの二人がいるの?」
「そりゃあ、同居人だから?」
以前は敵ではあったが、今ではいい同居人。白はともかく意外にも再不斬まで家事を手伝ってくれたりするから前より生活が楽になった。
白が何か手伝いましょうかと聞いたので、人数分の飲み物をお願いした。
確か昨日の水饅頭が余っていたはずだな、と冷蔵庫を開ける。あったあった。にーしーろー。ちょうど人数分だな。
いつまでも固まっている三人をソファに誘導する。
「ナルセはこんなところに住んでるのねー」
サクラは部屋の中をきょろきょろと見回す。
そんなに見られると恥ずかしいな…
というかそんなに興味をそそられるものなんて置いてないだろう
むむ…女の子は難しい
あ、自分も女の子だった
その日は日が暮れるまで家で談笑をした。
最近疲れることばっかりだから、とても楽しかったです、まる
久し振りのお客さん
(これで次からいつでも押しかけられるわね!)
(ちょ、勘弁してよ…)
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