ゲーム盤上の駆け引き
「うおおおお!」
「らぁあああ!」
テレビの前を陣取ってコントローラーを連打、連打、連打!自称ゲーマーの鬼童丸と格ゲーでゲーマーの名を懸けて一騎討ちすることになった。で、なう。
なんだかんだ言って暁のアジトと同じぐらい馴染んでると思うオレ。適応能力高すぎて笑える。
コンボ炸裂。最初はくだらんとか言ってた九喇嘛と守鶴も、オレを挟むように座って画面に釘付けになってやがる。尻尾をパタパタと振り回しやがって。お前らはイヌか。あ、二人共イヌ科だったな。
K.O.試合終了の文字が画面に映し出された。
「あいむうぃなー!」
「ま、負けた…ぜよ……」
圧倒的なこの差。フルボッコ…あ、いやフルコンボだドン!
勝利のゴングがオレを絶賛するぜ。止めな、全てはこうなるべくしてなったのだから……ぷっくく!
「ねえねえ今どんな気持ち?悔しい?悔しいィ?」
「うっぜぇ…!!」
青筋立てて見せても何も言えないもんね。敗者にそんな権利はない。ざまあwwwゲーマーの称号をとっととオレに譲るべきだっての。
「お楽しみのところちょっといいかしら?」
「んあ?」
「あそこのことについて、少し情報が入ったから知らせておこうかと」
振り向いたらそこに大蛇丸がいて、いつものように薄ら笑いをしていた。
あそこって言や、オレ達の中では一つしか指さない。あそこ、蝙蝠隠れのことについてか。コントローラーを九喇痲と守鶴に預けて、話とやらを聞くのに専念するとする。
「蝙蝠隠れの里には六人の映え抜きによって結成された部隊があるらしくてね」
「へぇ…たった六人で…」
「名を“六禍殱”。里の最重要任務は彼らが受け持ってるみたい。あそこを潰すなら彼らが厄介ね」
厨二かよ、ネーミングセンスねェな。ダサい。ダサすぎる。隣の鬼童丸もそう思っているのか苦笑いを浮かべている。あ、こら尾獣ども、ゲームで喧嘩すんな。
……そういや六人の部隊と言えばいつぞやゼツがそんなことを言ってたな。そんだけ注目を集めてるってこたァ同じもんを指してるとは思うが。
「で、その蝙蝠隠れの里から書簡が届いたわよ」
そう言った大蛇丸の手には一本の巻物がある。貸してくれ、と手を伸ばした。さらりと中身を見る。内容を確認した後、その身勝手さに激しく眉が寄ったのがわかった。
「どんな内容だったのかしら?」
オレの表情から問うた大蛇丸に、中を見たけりゃ勝手に見ろ、とその書簡を投げ捨てた。少なくともオレはもうそいつを視界の隅にも入れたくない。
テレビゲームは当分お預けになりそうだ。緩慢な動きで立ち上がり出口を目指した。荷物纏めなきゃなんねェな。
どこに行く気、と目で問い掛けてきたやつらのために半身、そちらに向けて口を開いた。巻物を見た大蛇丸は目的地をわかってるみたいだが。
「木ノ葉に行く」
虚実か現実か
(ゲームは緩やかに進行する)
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