星の瞬き | ナノ


  親の愛


クシナさんからお昼に誘われた。手作り料理を振る舞ってくれるらしい。美人の誘いを断る術を、あたしは持っていなかった。

なんでもあたしがすんなり木ノ葉の里に受け入れられるようになった経緯には、三代目とこの四代目夫婦が取り計らってくれたエピソードがあるのだとか。感謝感激雨嵐デスね。


「ほぁぁあああ!ほんとのほんとに食べていいんデスか!?」

「もちろんだってばね!」


ああ笑顔が眩しい!成る程この笑顔で四代目は落ちたんデスねわかります。

目の前に広がる数多くのお皿に目を輝かせる。どれも美味しそう!ではまず一口目。ぱくり。感想、美味しすぎる。四代目はこの腕に胃袋を捕まれたのデスねわかります。


「私もあの子にそうやって幸せそうに食べて欲しかったってばね…」

「あ、えと……落ち込むことはないデス!」

「ふふ、大丈夫。どこかで子供が生きていてくれるなら、親はそれだけで安心できるの。だから、大丈夫」

「……悪いことしてるかもしれないのに?…そういうもの?」

「そういうものだってばね」


あたしには子供がいないから、そういうのわからないや。


「確かにあの子は変わったから、あの子の友達も疑ってしまうのも無理ないわ」

「変わった……」

「あの子の様子がハッキリと変わったとわかったのは…カナデが亡くなってからね」

「カナデ…さん?」

「ええ。木ノ葉隠れの上忍だった男で、前代の妖遁使いよ」


妖遁。また、あたしの知らない言葉。この世界において妖遁を使う、いわゆる妖遁使いは時代の節目に現れることから重宝されるらしい。そんな人とナルセさんは仲が良かったんデスね…。

確かに仲が良い人が亡くなるのはとてもつらい。その気持ちは痛いほどわかる。

だって、自分の世界が一つ壊れてしまうのだから。


*****


ずず、ずずず。湯呑みを唇から離して、ほぅと一息。お茶が美味しいデスね。

クシナさんに手料理を振る舞ってもらった後は三代目とお茶。なんて贅沢なイベントなのか。もう嬉しすぎてあたしはぶっ飛んでしまいそう。


「してリアナ。ここはお前が知っとる世界とは随分違うらしいな?」

「ええ、まあ。相違点がたくさんありますねぇ」


こうして三代目とお話しできるだなんて思いませんでしたし?


「自分の知っているものが違えば人は騒ぎたくなるもんなんだがのぅ」

「決まりきった運命しか歩めないなんて、誰も決めてませんから」


だから違うことがあっても慌てちゃいけない。第一、一方的な決めつけを押し付けるのは無礼デスしね。だからあたしは違うところを受け入れなきゃいけない。人に個性があるように、きっと世界にもあるんデスよ!…多分。


「そう言えばクシナさんから聞いたんデスけど……カナデさんって、どんな人ですか…?」

「ふむ。そうじゃなあ……できる色男ではあったな」


よく読めぬ男だった…と三代目はしみじみと呟いた。

色男ってことは、かっこいい人だったんだなと思う。でもってミステリアス。女の子の恋心を揺さぶるタイプデスね。


「カナデが死んだ後のナルセは暴れたもんだった」

「へぇ…」

「九尾の力をコントロールできないほどにな。…それだけ大切な存在だったんだろう」


あたしの知らない人のうちの一人、サスケやサクラが追い求めている人の大切だった人。誰にでも大切な人はいる。そして失った時の絶望は…味わいたくない。

世界は回っているのだと、よく理解させられる。そしてなんて無情なんだろうと。


世界は回る
(自分だけ取り残されて)


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