星の瞬き | ナノ


  罪状通達


「喝!」


爆音と爆煙。「やっと合流か」狐の面が呟くようにして言った。


「どうしたデイダラ。苦戦してるみたいだな」

「こいつら中々に強くてよ…うん」

「それ聞いたの二度目だ」


デイダラは経験から学ぶということを知った方がいい。「バカか」サソリも呟いた。

場所が変わっただけで最初となんら状況は変わっていない様に思えるが、双方の疲弊度が違う。あの追いかけっこには少し、ほんの少しだけだが意味があったのだ。


「少し遠回りになったけど、こうして外に出られた。じゃ帰るか」


デイダラの鳥に狐の面とサソリがこちらを一瞥して飛び乗った。サソリはチャクラ糸で三代目風影の傀儡を引き上げる。そして今度は彼らは我愛羅の体を置き去りにしている。ごほん、と狐面が一つ咳込んだ。

その時ガイ班が到着。手勢は増えたが、やつらは既に空の上。


「卑怯ですよ!降りて来なさい!」

「降りるわけないでしょ!」

「降りるわけないだろ」


テンテンと狐の面のツッコミが重なった。敵にツッコまれるなんて…とネジは頭を抱える。


「はは。君達は弱いな。たった一人を取り戻すのにこんなに時間をかけるなんて」

「なんだと…?」

「能力的だけでなく精神も弱いと見える。過去を悔いるばかりで何もしないなんて。身勝手に兵器を作っておいてそのまま放置だなんて」


狐の面が言っていることはチヨと我愛羅のことか。チヨの顔がこわばった。

風習やら悪習やらに流されるばかりで自らは何も行動しない。滑稽だな、と狐面は嘲笑う。


「だがそんなあなた達に罪を償うための道を授けようじゃあないか」


「罪…」とチヨが繰り返す。ああ、確かにこれは罪だ。サソリを止められなかったことはおろか、新しい人柱力まで自分は作ってしまった。


「姿見える者だけが敵と思わぬことだ」

「敵…?なんだそれは」

「ああそれともう一つ。命を落とすことだけが罪を償う方法だと思わないことだな」


ごほん。また狐の面は咳込んだ。デイダラが大丈夫かと声をかける。


「十日後にナルセは草隠れの天地橋へ行くんだったよな?…うん。なら……」


沈黙。「……バカが」サソリの貶す言葉がぽそりとした。その通りであると思う。


「お前マジバカじゃね!?」

「オイラは別にバカじゃねえ!こ、今回はついうっかり……」

「それをバカっつーんだよコラァ!」

「なんだとゴルァ!」

「漫才してる場合じゃねぇだろ」


ギラリ。猛毒が塗られたクナイを向けられて二人は即刻謝る。こんな間抜けなとこ見せたばかりの時に死んでたまるか。


サクラはサスケと顔を見合わせた。思わぬ吉報を得たと。やはりナルセは暁とつながりがあったのだ。

放心状態の二人を一先ず置いておき、カカシは万華鏡写輪眼を向ける。空間が歪んだ。捻じれ、巻き込まれるような錯覚を覚える。カカシは飽くまでも三人を逃す気はないようだ。


「デイダラ、デカいの一発かませぇ!」

「任せろ!」


チャクラを大量に練り込んだ起爆粘土を地表に落とす。その危険性に気付いたネジが急いで退避しろと指示した。デイダラの掛け声と共に大爆発が起きる。

爆発は起こった。だが自分の身に怪我はない。どうなっているとガイが口にした。見ると何か渦に巻き込まれるように爆発が吸い込まれているではないか。


「どうにか間に合った…」


体を崩したカカシをサスケが支える。何が起こったのかと説明を求めるサクラに爆発ごと別空間に移動させたと言った。


「それよりサスケ…良かったじゃない…ナルセの、情報が知れて…」

「…ああ」


思わぬところで一歩前進した。このまま、突き進んで行ってやる。


償いへの道筋
(あやふやなレールを進む)


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