星の瞬き | ナノ


  アジト突入


「外…騒がしいな」


くい、と首を傾げながら耳を澄ませた。確かに、とデイダラの同意も得る。足止めは所詮足止めだったってことか。ふぅん…まあいいけど。

風影サマを救出しに来たやつらかな。こんなに早かったなら休息なんて取らずにとっととズラかればよかった。…動けるかどうかは別問題として。入口は封鎖されてるからそう簡単に侵入されはしないだろうけど。


「…なあ、ここってアジトという名のただの洞窟だよな?」

「そうだな」

「当然、ここの入り口ってあそこ一つしかないよな?」

「だな」

「どうやって逃げるんだ?」


二人からの返事はなかった。冷や汗が流れる。ダラダラと効果音がつきそうだ。


「ばっかじゃねえのぉぉおおお!?」


オレの叫び声は瓦礫の破壊音にかき消された。


*****


スピードが速いガイ班に離れた札を任せ、カカシ班は目の前の札を合図とともに引きはがす。札をはがせばサクラが岩を破壊し、入り口に待機するカカシ達。

中の様子を確認したカカシは指で合図をし、四人一斉に中に入り身構えた。


「「!」」


サスケは目を見開き、サクラとチヨバアは驚き僅かに口を開く。


「(…遅かったか)」


地面に横たわり、目を閉じている我愛羅。その傍に控えるデイダラ、サソリ。その後ろに胡坐をかいている、黒いコートを着て狐の面を被った人物。チヨは何十年ぶりかの孫との再会に目を細めた。


「バカって何だ!?バカって言う方がバカなんだよ!」

「事実を述べただけだろ?実際問題オレよりバカなんだしィ!?」

「やんのかコラァ!?」

「上等だゴルァ!?」

「うるせぇぞ」


ギラリ。猛毒の塗られたヒルコの尾を向けられて二人は即刻謝る。こんなとこでアホみたく死んでたまるか、とでも言いそうだ。

なんだこの出迎えは。敵ながら呆れ果てる。なめられてるのかと頭に来そうにもなるが、それすらも呆れて気が起きない。


「テメェがイタチの弟か?確かに似てやがる…うん」


デイダラがサスケの顔を直視して言った。そこには何か含まれた意味があるようであった。

どうやら左の金髪が単身砂に乗り込んだやつで、右の厳つい男がカンクロウを凌ぐ傀儡師、チヨバアの孫であるサソリであろうとカカシは踏んだ。


「旦那、これを言ったら多分旦那は怒るだろーけどよ…。あの“うちは”はオイラがやる…うん」

「オレだってこいつらには腹を立てている。大体テメェは人柱力をやっただろう。図に乗るなよ、デイダラ」

「芸術家ってのはより強い刺激を求めていねーと感情がにぶっちまうもんなんスよ、旦那。イタチの弟は中々に強いって噂だしな…うん」


自分の芸術に相応しい相手だとデイダラは続けて言った。


「なんだ?あの爆発が“芸術”だってのか?芸術ってのは長く美しく後々まで残っていくもの。永久の美こそが芸術だ」

「同じ物造りとして旦那。アンタは尊敬するが、芸術ってのは美しく儚く散っていく一瞬の美をいうんだよ…うん」

「な…なんなの、こいつら?」


サクラは二人の論争に思わず感想をもらしてしまった。またもや意味不明な口論。本当になんなのだこいつらは。


「デイダラ、お前は本当の美ってもんがわかってないようだな」

「それは旦那の方だろ…うん?」

「いや、永久の美こそ本当の芸術だ」

「馬鹿言っちゃいけねェ。芸術は一瞬の美だ」


サスケはなめた態度を取られたと癇に障り、大手裏剣を口寄せし二人に投げつけた。だがサソリがそれに目もくれずに尾で弾く。相変わらずの傀儡捌きだとチヨは思った。


「テメェはどっちだ」

「そうだ。一瞬の美こそ芸術だよな?…うん?」

「え?いや…えぇと……」


突然に話題を振られた狐の面。本心ではどっちもどっちだと言いたかったが、決して口にはしなかった。「いや知んねぇし」口にしたら最後。何時間も芸術について語られることだろう。


「とにかく、サスケのヤローをやんのはオイラだ!」

「このバカ。オレ達の用は済んだからとっとと退却するんだよ」

「バカって言うなって言ってんだろ!うん!」

「うっせバーカ」


バカと言われているのは自分ではないのにバカにされてるような気がするのは気のせいなのか。いや、そうではないだろう。明らかに足元を見られている。カカシ達は思った。自尊心が傷つくと言うもの。


「ったく、洞窟のことはアジトたァ言わねぇんだよ」

「アジトを作ったのはオイラじゃねぇし…」

「バカは黙ってろ。サソリ、準備はいいな?」

「ああ」

「よし。じゃいっちょやるか…【土遁 トンネル掘ろう】!」

「お前のがバカだろォオオオ!!!!」


普通に土遁で抜け穴を作った暁はそのまま穴に落ちて行った。


「……え!?逃げられた!?」


あまりの阿呆具合に呆気に取られてしまったのは仕方ないと思われる。


間に合わなかった救出
(うおおお!やべェ吐く!)
(バカ!こんなところで吐くな!)


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