試験会場へ@
前日、カカシ先生から中忍選抜試験に推薦されたと聞いた。
受験をするかしないかは個人の自由って言われたけど、二人の道を潰したくはないしなあ…これ、確か三人じゃないと受けられないんだよなぁ…
やるしかないよな、はぁー。面倒だ
サクラも悩んでいたようだけれど、絶対オレとは違う理由だろうな
てわけで集合場所に。
サスケとサクラと合流して試験会場へ。あ、アカデミーね。
卒業したというのにここには何度も世話になるなぁ…
サクラのことはサスケに任せよう。あいつは紳士だから、いい感じにフォローを入れてくれるはずだ
成り行きに任せて進んでいけば、気付けば301の教室に向かう廊下に出ていた。
おっと、意識が飛んでいた。歩きながら考え事はいけないな、面倒事に巻き込まれる
そう…今みたいに。
「いいか!?これは俺達の優しさだぜ…中忍試験は難関だ。…かくいう俺達も三期連続で合格を逃してる。この試験を受験したばっかりに忍をやめていく者…再起不能になった者…俺達は何度も目にした。」
え〜、いや確かにそうなんですけれどもぉ〜…
受験戦争。あれ怖いよなぁ…試験日が近づくたびに血走っていく生徒たちの目。思い出すだけでも恐ろしい…
サスケは気にした様子もなく、その騒動の中に突っ込んでいく。自ら厄介事に寄って行くとは、やるな…君にはスーパースターの素質がある!
サクラと二人、げんなりしながらついて行く。
あ、妨害してるやつがチャイナっ子お姉さんに傷をつけやがった。眉毛が殴られた。いたそー…
立ち入りを妨害していた二人は、ガキが任務の失敗、部下の死亡の責任を負うことが許せないらしい。
「どっちみち受からないものをここでフルイにかけて何が悪い!!」
「正論だな。……だが」
サスケはニヤリと笑って口を開く。
「オレは通してもらおう。そしてこの幻術でできた結界をとっとと解いてもらおうか……」
サスケの言葉に周囲は顔を見合わせる。
…え?気付いてなかったの?
下忍の二人は「フ、気が付いたか」なんて言ってるし。え、まじでー
「サクラ、どうだ?お前なら気付いてる筈だ。お前の分析力と幻術のノウハウは、俺達の班でかなり伸びているからな」
ここでフォローか、そう来るか!
ちくしょう、やるなサスケ…
こんな時にオレに萌えを供給するとは…げふん
「サクラ、君はオレの弟子なんだから。自信を持つことが条件だったろ?」
ん?と顔を覗き込めば、覚悟を決めた目でオレ達を見る。輝く瞳にもう迷いはない。
「もちろん最初から気付いているわよ。だってここは二階じゃない」
サクラが自信満々で言ってのけたら、視界が歪んだ。標識が201に変貌する。
下忍君はそれだけではとサスケに蹴りを加えようとする。サスケもそれに対して構えたが、一つの影が滑り込む。
「ふー……」
「…おい」
二人を止めたのは、先ほど殴られていた眉毛くん。同じチームらしき長髪の人物が不満そうに眉をひそめる。
「約束が違うじゃないか。下手に注目されて警戒されたくないと言ったのはお前だぞ」
「……だって…」
眉毛君はちらっとサクラをみて頬を染める。
え…おい待てよ。それってまさか…
眉毛君はサクラとの距離を詰める。サクラは見知らぬ人が近寄ったことにより顔を顰める。
「あのー…ボクの名前はロック・リー。サクラさんと言うんですね。ボクとお付き合いしましょう!死ぬまでアナタを守りますから!!」
「ぜったい嫌…あんた濃ゆい……」
即答!眉毛くんのハートが玉砕する音が聞こえた。
こう…パリーン、と。失恋は…辛いね…。
「サクラはそのままサスケ一直線でいいと思うよ…」
「あったりまえよ!」
眉毛くんに第二撃。こいつ弄るの楽しいな
サスケはその間長髪君に名前を訊かれていた。
お前、この間の瓢箪っ子といい男からのナンパが多いなそっち系の趣味があるというのか…!?
いや、オレそっち系には興味ないから…
話が終わればオレ達は今度こそ301の教室に進む。
廊下を進む…はずだった!
「目付きの悪い君!ちょっと待ってくれないか」
オレ達の足を止めたのは眉毛くんことリー。返事をしたのはオレらの頼みの綱、サスケ。
お前、目つき悪い自覚あったんだなぁ…
「今ここで…ボクと勝負しませんか?」
「勝負だと?」
「はい」
リーはサスケに対し宣戦布告をする。
かっこよく言ってるけど、要は今ここで喧嘩しませんか?と訊いてるんだよな。
男って、なんでこんなことが好きなんだろうなあ…熱い、熱いよ。
サクラも同感らしくどこか遠いところを見るような目で二人を見ている。
リーは階段の上から華麗に着地して自己紹介をする。
「ボクの名はロック・リー。人に名を尋ねる時は自分から名乗るものですよね…うちはサスケくん」
「…知ってたのか」
まあ、サスケはいろんな意味で有名だもんな。
天才として、モテ男として、うちはの生き残りとして…
「あの天才忍者と謳われた一族の末裔にボクの技がどこまで通用するのか試したい…だから君に一戦申し込みます!…それに……」
サクラをじっと見つめる。
さ、サクラ…体が震えているぞ
リーはばちっとウインクをした。
「イヤーーーッ!!あの下まつ毛がイヤァーーー!!!」
サクラの猛烈な拒絶。またもやリーのハートに攻撃
「髪型も嫌…眉毛もゲジゲジ…」
サスケと一緒に後ずさる。
サスケ、お前も嫌われていたらあんぐらい言われてたんだぞ…
ああ…
「フッ天使だ君は!」
サクラから凄いダメ出しをもらったというのに、今度はリーはめげない。アタックを繰り返す。
リーからの投げキッスをサクラは悲鳴を上げながら、イナバウアーの要領で避けた。
今の投げキッスすごいな。実像が見えたぞ
すまないがリーよ。オレも心は女子である。…今のはない。
「うちはの名を知ってて挑んでくるとはな…。この名がどんなもんか、思いしるかゲジ眉」
サスケーーー!お前はなんてお似合いのニックネームを付けるんだぁぁあああ!思わずぐっと親指を突き立ててしまったじゃないか!?
ゲジ眉は是非、と強く返事をした。
サスケはチラリとオレを見る。時計を見れば、試験開始の三十分前。
「…時間はギリギリだが、先輩から学ぶこともあるだろう。一種の鍛練と思い挑めばいい。ただし条件のことを忘れたときは破門だぞ」
「驕り高ぶるな、だろ。よろしく頼む」
一礼を入れてサスケは構える。
おっと、こんなところでリーが出遅れたな。自分から挑んでおいてそれはないぞ
リーも一礼を入れて構える。両者は対峙し、様子を見る。先に動いたのはリーだった。
「木ノ葉旋風!!」
見切ったサスケがリーの蹴りを避ける。リーは体勢を立て直し、何度も攻撃を繰り返す。
うん。サスケも強くなった。おそらく現時点では原作よりも強いであろう修行の賜物だ。
サスケの目を見れば写輪眼を使っていた。だが、まだ体が追いつかない。リーほどの速さには追いつけずとも、もう少し体を鍛えることが必要なようだ。
「言ってみれば、君の写輪眼とボクの究極の体術は最悪の相性…そしてこの技で証明しましょう……努力が天才を上回ることを」
リーが腕に巻かれた包帯を解き、サスケに術を仕掛けようとする。
が、そうはいかなかった。
包帯に風車が刺さり、そのまま風車は壁に突き刺さる。リーの体はそのまま引っ張られる。
「(こいつ…今サスケの努力を蔑ろにしたな…)」
「そこまでだ、リー!」
第三者の声が介入する。声がした方を見れば…大きな亀が。首に額当てを巻いた亀がいた。
リーは空中で体勢を立て直し、着地する。サスケを放っておくことも出来ないので、サスケはオレが受け止める。
「み、見てらしたんですか…」
「リー!今のは禁じ手であろうが!」
「しかし勿論ボクは“裏”の技の方を使う気はこれっぽっちも…」
なんだなんだ言い争いを始めて。
亀の方が目上なのか、リーはへこへこしている。
「馬鹿め!そんな言い逃れが通用すると思うか!忍が己の技を明かすという事はどういうことか…お前もよく知っているハズじゃ」
「お、押忍!!」
「覚悟はできたであろうな」
「ハイ!では、ガイ先生お願いします」
あー、こっから先は割愛しよう。長い
亀から煙が出て来てリーよりも凄いゲジ眉が出現。リーを説教後、殴る、熱く抱擁を交わす。背景に波がドドーン。
わかったであろうか。
ファンの皆様であればお分かりいただけたであろう。分からない方は漫画、あるいはアニメを見ることを勧める。
「サスケも強くなったなぁ…。でもこれでもっと鍛錬が必要なことが分かっただろう。目に追いつく体を作り上げないとな!」
「ああ、わかっている」
サスケは負けたというのになんだか嬉しそうな顔だ。
原作じゃあ悔しがっていただけだというのに。…いい子になったなぁ。どんどん強くなっていくよ
その後、ゲジ眉先生ことガイ先生は我らのカカシ先生のライバルと称し去って行った。最後まで熱い人だった…
リーもサスケを倒したいターゲットの一人と称し去る。
「オレ達も負けていられないな!」
「ああ!」「ええ!」
顔を見合わせて決意を互いに確かめる。
この試験には強者がいっぱいだ。こんなところで挫けているわけにはいかない。
「行くか。ナルセ!サクラ!」
「おう!」「うん!」
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