星の瞬き | ナノ


  同じ匂い


任務終了後、解散。その後日課となりつつある修行だ。


今日の修行は「かくれんぼ」。
気配を消す力と探知能力を高める修行である。

隠れる方は気配を消しながら、探す方を探知しつつ隠れる。逆に探す方は隠れる方を探知しつつ、気配を殺しながら近付く。


遊びも馬鹿に出来るものではない。鬼ごっこをしたときは死ぬかと思った。二人とも鬼になれば凄い形相で追いかけてきたのだから。鬼の能面も顔負けである。


そんなこんなでかくれんぼ。
現在の鬼はサスケである。ただ今サクラと逃亡中。


「ナルセ兄ちゃん!」

「お!木ノ葉丸か。久しぶりだな」


木ノ葉丸は友達と一緒にオレ達のところに向かってくる。無邪気な子供は可愛いなあ


「兄ちゃん!修行だ、コレ」

「ん?いいぞー。オレ達も今修行をしている最中だってば」


オレ達と聞いて木ノ葉丸はオレの隣に立っているサクラをまじまじと見る。まるで品定めをするような


「こいつ、誰だコレ」


コラ!木ノ葉丸、口が悪いぞ!
そんな子に育てた覚えはありませんっ


サクラにごめんねーと謝りを入れる。

こういう年頃の子供は生意気になることがかっこいいと思っているからな。困るもんだ。前世の弟の躾も苦労した


「私は春野サクラよ」

「!猿飛木ノ葉丸だコレ」


今度はサクラが木ノ葉丸をじろじろと見る。


「もしかして三代目のお孫さん?」

「そうさ!そしてオレの弟だ」


どーんと腕を構えて自慢する。
オレの弟だから強いんだぞーと言えばサクラはさらに関心を持って眺める。


「へぇ…私はナルセの弟子なのよ。よろしく木ノ葉丸くん」


木ノ葉丸はまた孫と見られて一度落ち込んだが、対等な関係でよろしくと言ったサクラに好感を持ったのか顔を輝かせてサクラの手を取った。


「木ノ葉丸、今日はなかくれんぼをしてるんだ。一緒にするか?」


「おう!」と声を上げた木ノ葉丸は駆け出した。
おーいそれじゃあ鬼ごっこだぞ


翔って行った木ノ葉丸をサクラと木ノ葉丸の友達と追いかけていく。

あいつ足早くなったなあ。でも気配を全然消せてないぞー


落ち着けーと木ノ葉丸を追う。お、曲がり角の所にいたぞ


「いてーじゃん…」


しまった!ぶつかってしまったようだ

木ノ葉丸はぶつかった衝撃ですっ転んだようだ。おうおうヤワだなあ


すみませーんと謝りに行こうと思えば、ぶつかられた男の人は木ノ葉丸の胸ぐらを掴み持ち上げた。

木ノ葉丸は何が起こっているかわかっていないようだ。


「痛ぇっつってんだよ。謝れクソガキ」

「ぐっ、…う、」

「やめときなって、後でどやされるよ」


慌てて木ノ葉丸に駆け寄る。連れの女の人は男を宥めるが、男は引き下がろうとしない。

よく見ればこの二人組、額当てをしている。砂隠れか?


「どうもすみませんねー、うちの子が」

「ぶつかって来ておいてそりゃないだろ…なぁ?」


いや、謝ったじゃん!なんなんだよこいつ!
九喇嘛に噛ませるぞ、おい


がっと男の腕を掴み、木ノ葉丸を解放させる。木ノ葉丸は肺に一気に空気が入ったことにより、咳き込んでいる。


「木ノ葉丸ー、謝ろうな。ぶつかったのはお前なんだからー」

「ご、ごめんだコレ」


よしよし。これで謝れっていうのは達成したな。
怖い思いをしたのに謝れるなんてお前は男だぞー、よしよし

だというのに、真っ黒くろすけの男はオレを睨んでくる。え?なにまだ謝りたらないの!?


「…ムカつくじゃん、お前…大体オレってチビが大嫌いなんだ。おまけに年下のクセに生意気で…殺したくなっちゃうじゃん」


ピクリ

チビに年下、生意気

言ってくれる、言ってくれるなぁ…
イライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライラ…

お前の方がチビで年下で生意気なんだよッ!!
かーっ!イラつく!なんだよコイツ!ぶっころーす!


睨まれたお返しにこちらも睨み返す。
お相子だクソヤロー!とっとと帰れ!

男は睨まれたことに挙動を怪しくするが、オレに対し殺気を放ち始める。


「よくもコケにしてくれたじゃん」


男は背負っていたものを地面に下す。


「おい、カラスまで使う気かよ」


反応したのは女の人。


やってやるよ、クソガキぃ。覚悟しろよ

ピリピリとこちらも殺気を放つが、男の足元にクナイが飛んできたことにより中断する。


「よそんちの里で何やってんだ、てめーは」

「サスケくん!!」

「さっさと失せろ」


まるで救世主!そして愛しのお方!
なーんて目でサクラはサスケのことを見つめる。

サスケは木の枝に座り、こちらを警戒している。男は新たに現れた人物に気が食わない様子。


「ムカつくガキがもう一人…おい、降りて来いよ。この金髪のガキと一緒に絞めてやる…」


どうやら本気でやるみたいだな。
オレも警戒したその時、別の人物の声が聞こえた。



「カンクロウ、止めろ。里の面汚しめ」



声を上げた人物はサスケのすぐ隣にいた。枝に逆さまにぶら下がっている。


薄々誰かいるなとは思っていたが。なかなかやれるやつのようだ

サスケは薄々、サクラは全然気付いていなかったようで驚いている。


「喧嘩で己を見失うとは呆れ果てる…何しに木ノ葉くんだりまで来たと思っているんだ」

「聞いてくれ我愛羅…こいつらが先につっかかって来たんだ!」


どうやら真っ黒くろすけはこの赤髪君が恐ろしい様子。先ほどとは打って変わり、怯えて弁解する。



「黙れ、殺すぞ」



こっちも短気かよ!
え?兄弟か?兄弟なのか?
兄弟揃って短気なのかーーーー!?

親は何してるんだ。もっと教育をしっかりしなさい!

あ、でも謝ってくれたよ。一瞬で木からびゅんって飛んで来てね。こっちのほうが話が分かるね


「どうやら早く着き過ぎたようだが…オレ達は遊びに来たわけじゃないんだからな」

「分かってるって…」

「行くぞ」


「ちょっと待って!」

「………何だ?」


男達が踵を返したところをサクラが呼び止める。


「貴方達、額当てから見て砂隠れの里の忍者よね…」


あー…サクラはきっと同盟を結んでいても他国の忍の勝手な出入りは禁じられているとでも言うんだろうな。サクラ真面目だから


「サクラ、ストップ。今の時期はね、中忍選抜試験があるんだってば」

「どうやらそっちのやつは話がわかるようだな」


答えたのは女の人で通行証を提示してから、試験について詳しく説明してくれた。

同盟がほにゃらら結束を固めるためほにゃらら。
てか、よくそんな長い説明覚えていられるな。オレ、そんなのいちいち覚えてないぞ?


「おい、そこのお前…名は何て言う?」


サスケは木から降りて来て、瓢箪の子を見て問う。女の人が顔を染めて自分のことかと勘違いしたが、サスケは一刀両断。サスケェ…


「………砂瀑の我愛羅」


おいこの子いい子だな!こんな失礼なサスケにちゃんと名乗るなんて!少し間が開いたが律儀に答えるなんてなんて!

我愛羅はサスケに名前を聞き直す。
ライバルの登場って?青春をしてるねー


「(おいナルセ、こいつから変な感じがするぞ)」

「(ん?この子は砂の狸の人柱力だからね。同じ匂いがするんだろ)」

「(守鶴か…)」


え?こいつらの正体を知っていたのかって?
あったりまえだろ、オレにはチート能力があるんだぜHAHAHA☆

サスケと我愛羅が見つめ合ってる中、ふと我愛羅がオレの方を向いた。


「お前にも興味がある……名は?」


え?オレ?いや違うだろー


「ほら、サクラ。ナンパされてるぜ」
「どう考えてもナルセのことでしょー!?」


こんなフラグいらない。うん返却不可能ですか
どうやって回避するか…

ちなみにオレのフラグ回避の野望は途絶えていない。当たり前だろう!


「あー、姓ははたけ名はカカシ。またの名を歩く18禁だってば」

「「それは オレ/私 達の先生だろ!」」


サイドからの鋭い突っ込み。
ちくしょーネタバレはダメだろー


「オレのことよりそこの美しいお姉さんです。砂の三姉弟の長女、テマリさんと見受けました。その大きな扇子、あなた確か風使いでいらっしゃいましたよね?実は僕も風のチャクラを持っていまして。ぜひともご指導願いたいものです」


ぺらぺらぺらと口から寒い台詞がぽんぽん出ていく。


オレ、テマリのこと前世から好きなキャラだったんだよね!美人だし、強いし、かっこいいし!

サスケとサクラはまた仕出かしたと呆れ、砂隠れの三人は呆然としている。


「僕の名前はうずまきナルセです。どうかこれからも連絡を取り合いませんか?」
「断る!」


テマリの綺麗な手を取って跪く。が、即答で断られてしまった。

うう、悔しいな。いや、待てよ。テマリにはシカマルという未来の旦那がいるからこそ断ったのか?きっと自分の赤い糸を感じ取って断ったに違いない
そうかシカテマか!ドラマチックでロマンチックで大人の魅力溢れる二人…いいなあ…



…あれ?気付けば三姉弟はもう行っちゃってるじゃないか

二人を振り返れば大きく溜め息を吐かれた。
なぜに?


狐と狸
(同じ匂いってなあ…)
(若干いやらしいな)


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